2024年3月15日金曜日

アンダルシア・フラメンコ プログラム発表

 アンダルシア州のフラメンコ公演シリーズ、アンダルシア・フラメンコのプログラムが発表になりました。

前売りは本日3月14日開始しました。

8公演で100ユーロというお得な回数券もありますよ。


◇アンダルシア・フラメンコ

520(月)11時『フラメンコは始めた人の音楽』、21(火)18時『メロディ、ハーモニー、リズム』、22(水)19時『ワーク・イン・プログレス』

[出]〈piano〉チコ・ペレス、〈fl〉セルヒオ・デ・ロペ

[場]セビージャ セントラル劇場 サラB、*20日のみ音楽学校で開催

[料]無料20日はgdiazluque@gmail.com,その他はcentral.info@juntadeandalucia.esへ申し込み。

521(火)21時『ロス・バイレス・ロバードス』」」

[出]〈b〉ダビ・コリア

523(木)21時『レクエルド・デ・セビージャ ニーニョ・リカルドのいない50年』

[出]〈g〉ホセリート・アセド、ホセ・アセド、協力〈g〉ラファエル・リケーニ、〈b〉バレリアーノ・パーニョス

525(土)21時『オメナヘ・ア・パコ・デ・ルシア』

[出]〈g〉ダニエル・カサレス、コルドバ交響楽団

528(火)21時『ウナ・ロサ・アスル・イ・ドス・オホス・ロホス』

[出]〈b〉マカレーナ・ロペス、〈c〉ミゲル・ポベーダ

61(土)21時『ヒタネリア』

[出]〈c〉アントニオ・レジェス、ホセ・バレンシア

64(火)21時『ラ・マテリア』

[出]〈b〉オルガ・ペリセ

66(木)21

[出]〈c〉アンヘレス・トレダーノ

68(土)21時『フレンテ・アル・シレンシオ』

[出]〈b〉ラ・モネータ

[場]セビージャ セントラル劇場 サラA

[料]各18ユーロ

[問]https://www.teatrocentral.es

2024年3月10日日曜日

ヘレスのフェスティバル最終日マヌエラ・カラスコ『シエンプレ・マヌエラ』

マヌエラ・カラスコのソレア! 
最高だった。マヌエラといえばソレアで私がスペインにきてからの、この三十数年間にも何度も何度も見てきた。出てきただけで舞台を、いや劇場全体をも支配してしまう圧倒的な存在感。すっくと腕を上げ、くっと顎を上げたその姿の美しさ。誰にも真似できない彼女ならではのたたずまい。そこにいるだけでオレ!なマヌエラを女神に例えるのはごく自然なことだったように思う。フラメンコを愛するものなら誰もがひれ伏すだろう存在。
だけど今日のソレアは特別だった。
昨年常に彼女と共演していた夫でギタリストのホアキン・アマドールを亡くした。
不在、追憶、憧憬、探索が伝わってくるような導入。踊るうちに無我の境地になって不在を忘れたかに思った時に戻ってくる大きな悲しみ。哀悼。彼女は誰よりも雄弁に語っていた。自らの中にある感情を、心のひだを。言葉にならない思いを。そこにあったのは真実以外の何者でもない。だからこそこんなにも私たちの心を動かすのだ。ソレアに泣いた。皆が泣いた。

引退ツアー用の作品の初演。どんな公演になるのかちょっとドキドキしてた。というのは彼女は筋金入りのバイラオーラで、舞台演出家ではなく、これまでに発表してきた作品にもこれが代表作といえるようなものはないからだ。ハレオ・エストレメーニョでのオープニング、長年彼女の伴唱をしているエンリケ・エストレメーニョのカンテソロでマラゲーニャ.ゲストのへスース・メンデスがファンダンゴにつづいて歌ったカーニャで共演し、母と同じくマヌエラという娘によるアレグリアス、とそこまでは平常心で観ていることができたのに、ソレアになるとタガが外れたようになってしまった。エンリケとマヌエラの歌と足でのやり取りも長年の関係ならでは、で、そこにも感動してた。

神様ありがとう、こんなに素晴らしい時間をくれて。私はこういう瞬間のためにフラメンコをおいかけているのだな、と。実はひどい風邪をひいてヒーヒーいってたのに元気が出た。治った気分。

オフィシャルの写真もビデオもまだ上がってないのですが取り急ぎ感動記しておきます。


今、写真とビデオが来ました!

オープニング、ハレオ。マントン。
©︎Tamara Pastora/Festival de Jerez

エンリケの歌ソロ。メジーソのマラゲーニャにベルディアーレス

©︎Tamara Pastora/Festival de Jerez

ヘススの歌ソロはファンダンゴ
©︎Tamara Pastora/Festival de Jerez

立っているだけで絵になるマヌエラ様。
©︎Tamara Pastora/Festival de Jerez

カーニャ。衣装、カーニャらしくはないけれど素敵。

©︎Tamara Pastora/Festival de Jerez

女王いや女神に歌う若き騎士。

©︎Tamara Pastora/Festival de Jerez

©︎Tamara Pastora/Festival de Jerez

©︎Tamara Pastora/Festival de Jerez

©︎Tamara Pastora/Festival de Jerez

©︎Tamara Pastora/Festival de Jerez




女王は譲位の意向?皇女を支える。

©︎Tamara Pastora/Festival de Jerez

元気にアレグリアス。
©︎Tamara Pastora/Festival de Jerez
カホンはホセ・カラスコ。マヌエラの弟。横顔がちょっとマリオに似てるよね。

©︎Tamara Pastora/Festival de Jerez

ギターにライトがあたり、彼と出会ったのは17歳の時、というマヌエラの語りが入る。

©︎Tamara Pastora/Festival de Jerez

ソレア。赤いライトのなか、浮かび上がる女神のシルエット。
©︎Tamara Pastora/Festival de Jerez

最初マントンで踊り始めた時、いや私は普通の、いつものソレアが見たい、と一瞬思った。
©︎Tamara Pastora/Festival de Jerez

マントンでずっとというのは危惧だった。いつものソレアがそこにあった。
シエンプレ、いつも マヌエラ。いつものソレア。いつまでも。

©︎Tamara Pastora/Festival de Jerez
エンリケの歌い掛けと会話するような踊り。

©︎Tamara Pastora/Festival de Jerez


見上げる天にはきっとホアキンが。
©︎Tamara Pastora/Festival de Jerez

デビュー当初、誰もが驚いた強靭な足技健在。
©︎Tamara Pastora/Festival de Jerez


二人の会話は続く。
©︎Tamara Pastora/Festival de Jerez

©︎Tamara Pastora/Festival de Jerez

©︎Tamara Pastora/Festival de Jerez

©︎Tamara Pastora/Festival de Jerez

©︎Tamara Pastora/Festival de Jerez


©︎Tamara Pastora/Festival de Jerez

そしてシルエットとなって去っていく二人の後ろ姿。
©︎Tamara Pastora/Festival de Jerez

会場は全員総立ち!
©︎Tamara Pastora/Festival de Jerez

©︎Tamara Pastora/Festival de Jerez


ちなみにこのビデオの数倍、生は良かったですよ。6月、日本にもいくのでぜひ生で見てくださいね。ちなみに引退ツアーはビエナルでも上演されるし、来年アメリカにもいくそうです。

Manuela Carrasco from Festival de Jerez Televisión on Vimeo.

2024年3月9日土曜日

ヘレスのフェスティバル15日目メルセデス・ルイス『ロマンセロ・デ・バイレ』

ご当地ヘレスを代表するバイラオーラ、メルセデス・ルイスの新作。
芝居がかったことなどなしに、シンプルに、彼女らしさをみせる構成で好感が持てる作品だった。
無音の中、下手からゆっくりと歩いていくオープニング。かみてから現れたホセ・マルドナードとのセビジャーナス。ホセは自分の作品でみせたモデルノさをほぼ封印して、終始、メルセデスを引き立てる役割を見事にこなしていた。
©︎Tamara Pastora/Festival de Jerez

帽子を使ってのファンダンゴからのシギリージャはバタ・デ・コーラとカスタネットで。
©︎Tamara Pastora/Festival de Jerez

カンティーニャは無伴奏でダビ・ラゴスの歌で。
©︎Tamara Pastora/Festival de Jerez

マントンを使ったデュオも面白い。エル・ビート。
©︎Tamara Pastora/Festival de Jerez


©︎Tamara Pastora/Festival de Jerez
©︎Tamara Pastora/Festival de Jerez
©︎Tamara Pastora/Festival de Jerez

最後はヘレスらしくブレリア三昧
©︎Tamara Pastora/Festival de Jerez

新しい何かをくれるとか、そういうものではないけれど、持っているものをすっきりとみせてくれた作品でありました。ホセとのパレハも良かったし、ダビの歌声がやはり今日も最高。



2024年3月8日金曜日

ヘレスのフェスティバル14日目エステベス&パーニョス舞踊団『コンフルエンシア』

一昨年のフェスティバル最終日にアタラジャ博物館で上演された作品がビジャマルタ劇場に登場。元々女性たちによる新作上演予定だったのが、出演ダンサーの一人の急逝により、急遽演目が差し替えられたもの。内容は2年前と変わりがないが、より大きな舞台だと動きもより大きく、照明もより美しく、パワーアップしてみせてくれた。

5人のダンサーに歌、ギター、パーカッションというミニマムなカンパニーながら、5人のダンサーがそれぞれの得意分野(ボレーラ、エスティリサーダ、フラメンコ、コンテンポラリー)を生かしつつ、同じ振りをユニゾンで踊るだけでなく、バリエーションに富んださまざまな構成で、飽きずに見させてくれる。

©︎Esteban Abión/Festival de Jerez

©︎Esteban Abión/Festival de Jerez

フラメンコの源流に位置するロマンセ、ホタやファンダンゴ、サラバンダ、スペイン民謡、アフリカ由来の音楽、フラメンコの歴史の礎である歌や踊り。それがどんなふうに関わり合って今のフラメンコになっていったかが目に見えるような感じ。その意味では前日のウルスラの公演とも繋がるのだけど、過去の振り付けをそのまま踊るのではなく、そのポーズなどを取り入れつつ再構築している。よりスピード感があって奥深いオリジナル。

そこで演奏され踊られた曲についてはこちらに詳しいので興味のある人は見てみてください。

©︎Esteban Abión/Festival de Jerez

椅子に座って踊ったラファエルの素晴らしさ。いや立って踊った時もだけどさ。
©︎Esteban Abión/Festival de Jerez


フラメンコの、スペイン舞踊の素晴らしさ、満喫させてもらいましたよ。ありがとう。

Estévez/Paños y Compañía from Festival de Jerez Televisión on Vimeo.

2024年3月7日木曜日

ヘレスのフェスティバル13日目ウルスラ・ロペス『コメディア・シン・ティトゥロ』

 前アンダルシア舞踊団監督ウルスラ・ロペスが、監督退任後、初めての作品を初演。監督時代の作品『蝶の呪い』の続編とでもいうべき作品。公演は彼女の名前で、だけれど男4女4の8人のダンサーが彼女と共に繰り広げるフラメンコの舞踊の歴史の絵巻みたいな作品。フラメンコだけでなく同時代のモダンダンスなども取り入れてソロで群舞でとバラエティに富んだ形で見せていく。無題の悲劇というタイトルはロルカが暗殺される前に書いていたタイトル。そこにロルカがかいた大天使がフラメンコのフリルのドレス、という記載からの発想でフラメンコドレスが空に上がっていくオープニング。そのドレスが最初、花に包まれた棺に見えるのが凝っていて面白い。でもこれ、記者会見でタイトルの由来聞いていた私にはわかっても他の人にはわからないよね。

©︎Esteban Abión/Festival de Jerez

以降、ビセンテ・エスクデーロのシギリージャ、グラン・アントニオのマルティネーテなど、フラメンコの歴史を語るのに欠かせない伝説の巨匠の作品に始まり、

©︎Esteban Abión/Festival de Jerez


モダンダンスのホセ・リモン/ドリス・ハンフリーの『エル・ジャント』、マッツ・エックの『ベルナルダ・アルバ』なども挟みながら、グイトやファルーコのソレア、ガデスの『血の婚礼』のラストのストップモーションのような振り付けなども挟みながらマリオ・マジャの『カメラモス・ナケラール』などの作品まで網羅。ただ、ロルカ作品に由来するものが多いとはいえ、全部ではないし、年代順というわけでもないので、ちょいカオスな気もする。

ウルスラが真紅のバタ・デ・コーラとマントンで踊ったサエタは見事だったけど。


©︎Esteban Abión/Festival de Jerez

©︎Esteban Abión/Festival de Jerez


©︎Esteban Abión/Festival de Jerez

グイトやファルーコのソレア、と言った素晴らしいフラメンコの振り付けを他の人が踊ることで後世に残していくことは悪くないと思う。ガデス舞踊団がそうだよね。ま、本家知ってるとここはもうちょっと足伸ばして、とか思うことがないじゃないけど。ギターでも、ハビエル・コンデがやってますよね、過去の名作を今の技術で演奏っての。でもこの作品はいろいろ詰め込みすぎて、整理が追いつかない。

歴史を語るのでも年代順にするとか、テーマで分けるとか体系的なものがあるといいだろうし、歴史的な振り付けをそのまま踊るのではなく、印象的なポーズを使ってそこからオリジナルにして過去と現在を照らし合わせるいくとか、うーん。なんかちょっと腑に落ちないというか、納得しきれないとこもあるけれど、前作同様、力仕事見せていただきました。

あ最後になったけどアルフレド・ラゴスのギターとプロジェクトロルカ(パーカッションとサックス)好きです。歌のペラーテとセバスティアン・クルスもコントラスト効いてて良かったし、舞踊団メンバーも頑張ってました。


























2024年3月6日水曜日

ヘレスのフェスティバル番外編その4『デ・ハポン・ア・ヘレス』

ラ・グアリダでの恒例?日本からヘレスへ、公演。
今年は7人が出演ということでプレセンタシオンもフィン・デ・フィエスタもなく、参加者も一人7分ということで、持っている振り付けの一部を削るなどして出演。みんなきちんとそこらへんちゃんと守っていたのが日本人ですね。ずるずる長くしちゃう人とかいそうなのに。

トップバッターは景山綾子。シンガポール在住で、今回の出演者の中で最もキャリアも浅い。
カンティーニャ。踊るのが楽しくてたまらないというような笑顔が素敵。


二番手、山下美希はタラント。踊り始めると顔つきも変わる。力強く、ソブリオ地味で、どこか哀愁の、タラントという曲のキャラクターをよく理解して踊っている。エンリケが紹介で、「僕は好きなんだ」と言った意味がわかった。これは好きでしょ。


宇根由佳は去年、コンクール優勝したグアヒーラ。途中、アバニコをパルマを叩いていたフアン・ディエゴに渡したのだけど、その受け渡しがすごく良かった。


荒濱早絵はソレア。エンリケの紹介、で美人、と何度も言っていたけれど、綺麗なだけじゃない。ちゃんと歌を取り込んで表現している、という感じ。初めて生で見たけどまた見たいです。

安井理沙はティエント/タンゴ。美しいマノの表情が印象的。

スイス在住林結花はシギリージャ。風格が出てきた。重みのあるシギリージャを丁寧に踊った。

オオトリを務めたのは松下幸恵。ベテランならではセンシビリダでタラント。


この公演の立役者、エンリケ・エル・エストレメーニョとニョニョ。


出演者にとってはクラスに行くよりも深い勉強ができたひと時だったに違いない。ありがとうございます。