2009年12月18日金曜日

ラ・アルヘンティーナ新譜発表会


12月17日、セビージャのアルバレス・キンテーロ劇場でラ・アルヘンティーナの新譜「ラス・ミーナス・デ・エヒプト」発表が行われた。
ラ・アルヘンティーナとそのマネージャーでこのCD発売元のレコード会社をたちあげたルイスミ、CDのグラフィックデザイナーが、カナルフラメンコラジオのパコ・サンチェスの司会でおしゃべり、とラジオ番組風にはじまり、続いてミニ・リサイタル。

新譜からシングルカットされたルンバ、タイトルの素となったレトラを歌っているソレア、ブレリアと3曲を歌った。ギターにボリータとエウヘニオ・イグレシアス、パーカッションにホセ・カラスコ、パルマにはメジ兄弟、ボボーテ、テテ・ペーニャというなかなか豪華な布陣。
ロサリア・デ・トリアーナのレトラを歌ったソレア、フェルナンダやパケーラのレトラを歌ったブレリアの2曲がいい。
ロサリアは録音もほとんど残っていないセビージャ生まれのヒターナだが、トリアーナの古いスタイルだとされる、そのわずかな録音は熱心なアフィシオナードたちに珍重されている、玄人好みのカンタオーラ。彼女が歌ったソレアの歌詞
「私はエジプトの鉱山に行きたい
そこにいるといったから
かわいそうなヒターノたちが
ロバの毛を刈っているという
だからエジプトの鉱山に行きたいの」
からこのアルバムのタイトルがついたわけだが、若くて、ある程度名もなして、でも古い物を聴いて勉強して、歌っていこうというこの姿勢は素晴らしい。
ブレリアでも,フェルナンダやパケーラのレトラをそっくりさんのように真似して歌うのではなく、彼女らしく歌ったところに好感がもてた。

ここ十数年だろうか、カンテの新譜というと新曲ばかり。
さまざまな楽器をいれたコンボスタイルにコーラスも加わったにぎやかな構成も
それはそれで楽しいし、素晴らしい作品だってある。
でもそれもいつの間にか新鮮味を失ってしまいかつての輝きは今はない。
で、今何が新しいかというと古典、伝統なのである。

そう、前に行くためには後ろを見ることも必要。
過去に学び、新たな道を模索する。それがアートのあるべき姿。
フラメンコもそうなのだ。


なおこのCD評はこちらのブログにアップしました。

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