2010年3月2日火曜日

ヘレスのフェスティバル4 ファルキート!

 最高!

の一言。

とこれで終わりにしてもいいくらいすごいすごい舞台だった。
もうほかに何もいらない
ってくらいすばらしいバイレだった。

ヘレスのフェスティバルに立つのは6年ぶりという
ファルキート「エセンシアル」
昨年マジョルカとバルセロナで公演した新作を
劇場用によりコンパクトにまとめたかたち。

2人のカンタオーラ、2人のカンタオール、
2人のギタリスト、バイオリン、パーカッション

シギリージャ
アレグリアス
ソレア
の3曲。
間にカンテをはさみつつ聴かせるという
シンプルな公演
だがそれは彼のバイレを満喫するに十分

ファルキートのバイレはほかの誰とも違う
ファルーコやラファエル・エル・ネグロを思わせることはあっても
いやすでにファルーコ系などというのも超えた
他の誰でもない
ファルキートのバイレなのだ。

ファルーコゆずりのパソも使うが
背を反らしたまま後ろへ進むなど
オリジナルの、思いもしないようなパソが次々とでてくるのだ。
普通の回転のあとに足でちょっとアクセントをつけたりと面白い。
足の位置をすっと変えるだけ
体の向きを変えるだけ
といったささいな動きも
コンパスを呼吸するようにしてするから思わずオレ!の声が出る。
ほとんど動かず軽く足でリズムをとっているようなときですら
全身がフラメンコそのものだ。
回転のいきなこと。
スピード感。
観ているだけでこちらの体にも力がみなぎってくるようだ。

切れのよいシギリージャ
上昇感のある極上のアレグリアス
ひたすら深いソレア
どの曲も舞台に登場したその瞬間から曲の雰囲気そのままだ。
アレグリアスの軽快な足取りと
ソレアの、頭を下にゆっくりと重々しく歩く彼は別人のようですらある。

秘密は歌。
彼は歌を聴いてそれを体に取り込んで踊るのだ。

白い衣装でのアレグリアスのすごさといったらない。
次から次へとでてくる
体の中からあふれてくるような動きがそのままフラメンコだ。
ゆっくりゆっくりと腕をあげていくソレア
コンパスをなぞるようにマルカール
歩いているだけでソレアそのものだ。

ファルキートのフラメンコには魔がある。
ほかに誰もいない、
彼だけのフラメンコであると同時に
皆を熱くし、心からのオレ!を叫ばずにはいられない、
皆のフラメンコなのだ。

最後に舞台に上がった末弟カルペータとみせたブレリアの楽しさをも満喫し
この夜会場にいた誰もが幸せな気持ちで家路についたにちがいない。




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