2010年4月30日金曜日

ミゲル・ポベーダがセビージャ県イーホ・アドプティーボ


今をときめく歌い手、ミゲル・ポベーダ
4月29日、セビージャ県のイーホ・アドプティーボとなりました。
イーホ・アドプティーボは直訳すると養子、
つまり、セビージャ県外で生まれた人に対しておくられる名誉の称号、
さしずめ名誉県民、といったところでしょうか。
あ、実際に住んでいるのだからちょっと違うかな。

ご存知の通り、バルセロナ近郊バダローナ生まれのミゲルですが
2003年にセビージャ近郊ボルムホスに移り住み
今はやはりセビージャにほど近いエスパルティーナの町に住んでいる。
先週、ラジオ番組のインタビューで
「僕はこちらに住む必要があったんだ。僕の歌っている景色と観ている景色が違いすぎた」
とアンダルシアに住むことになった理由について語っていた彼。
うん。景色ってあるよね。
フラメンコの景色。風景。風土。
フラメンコのふるさと、アンダルシアの景色をみることは絶対
フラメンコをしていく上でプラスになる。
フラメンコの空気はアンダルシアの空気。
あの空気を感じさせるにはやはり本物を知らなくちゃ。

ミゲルはバルセロナ市内に居を構えていた頃も、
仕事の合間をみてはヘレスやセビージャにやってきて
フラメンコ力をみがいていたことは今も語りぐさです。
フラメンコが好きで好きでたまらなくて
CD録音の際に、大好きなモライートと録音。
それをきっかけにヘレスと縁を深め、
2年前にはモライート、ルイス・エル・サンボ、グリロと共演の作品
「シン・フロンテーラ」をつくりあげた。

その昔、親すらアンダルシア人でもヒターノでもない奴がフラメンコをやる、
ということで小馬鹿にされてた頃もあった。
くやしいことも沢山あったろう。
が、そんなことも遠い昔。全て嘘のよう。
実は20年もたっていないのにね。
すっかりアンダルシアになじんで、アンダルシアの観客にも支持されている。
すごいな。ほんとうにすごい。

フラメンコに国境はないけれど
色眼鏡でみる人の眼鏡を外すのはやっぱ本物のアフィシオンしかない。

2010年4月29日木曜日

第16回コルドバ川を渡ってフラメンコ祭

昨日に引き続きコルドバの話題。
5月はコルドバの月。
ふだんはのぞけない一般のおうちのパティオに入れるパティオ祭やら
町外れの大会場で開かれるフェリア、
それぞれの地区で祝われる十字架祭やら。
あふれる陽光。ゼラニウム、ブーゲンビリア。
町中花でうまり、5月のコルドバは本当に美しい。
フラメンコもあります。
5月7、8日の両日22時30分から、
ローマ橋を渡った向こう側、カラオラの塔のところで開催されるフェスティバル。
出演はコルドバの歌い手たち中心で
7日金曜日がアントニオ・パトロシニオ、クーロ・ルセーナ、クーロ・ディアス
8日土曜はルカス・デ・エシハ、モレニン、サラコ・デ・コルドバ
加えて9日日曜はごはんがあるそーな。
楽しそうですね。


2010年4月28日水曜日

コルドバ若者のコンクール

コルドバのコンクールというと、
現在あるコンクールの中で最も古く、
錚々たるメンバーが歴代受賞者に肩を並べる、
コンクルソ・ナショナル・デ・アルテ・フラメンコ
が有名ですね。
95年にAMI が外国人として初めてグアヒーラ部門で優勝したあのコンクール。
コルドバ市の主催によるもので
今年は3年に1度のその開催年なのでありますが、
これまで春の開催だったのが今年は秋になりました。

でももうひとつ、コルドバ“県”主催の、
若者コンクールが今年開催されるそうな。
対象は15歳から30歳までのコルドバ県在住の若者たち。
カンテ、ギター伴奏、ギターソロ、バイレの4部門で
5月14日まで申し込み受付中だそうです。

カンテ、ギターはリブレのものとコンパスのものと一曲ずつが課題。舞踊はなんでもOK。
曲ごとに部門がわかれているコルドバ市のコンクールにくらべる
かなり大雑把だけど、優勝者のものはライブをCDにするんだそーな。

ちなみに決勝の日程も会場も未定です。
ここらへんもスペインぽい。。。

2010年4月26日月曜日

闘牛と音楽 タウロムシカ

5月1日から6月6日まで
セビージャ郊外、エスパルティーナの町で
闘牛と音楽/フラメンコとコプラの祭典、タウロムシカが開催されます。

5月1日は18時半から闘牛、
21時からはアルカンヘルとアルヘンティーナ、
二人のウエルバ出身の歌い手によるコンサート。

5月2日は12時からコミック闘牛、
18時から闘牛


5月8日は18時半から騎馬闘牛
21時からはコプラ(スペイン歌謡)のコンサート

5月9日は12時からコミック闘牛、
18時から闘牛

6月5日は18時半から闘牛、、
21時からはフラメンコとスペイン歌謡を歌うマヌエル・ロンボのコンサート。

6月6日は12時からコミック闘牛、
18時から闘牛


入場券はこちら
闘牛とコンサートの両方の入場料もパックになった入場券は64〜100ユーロ
コンサートだけだと25ユーロ。
日曜日のコミック闘牛は10〜20ユーロ、若牛による闘牛は15〜26ユーロ。
会場では闘牛の肉をつかった料理や
土曜日17時、日曜日12時から、
ペーニャ会員によるフラメンコやフランコ・ポップ、また手品などの公演も。

闘牛とフラメンコは昔から縁が深くて
アルティスタの中にも闘牛好きは多いし、
闘牛士の中にもフラメンコの公演に顔を見せるものもある。
アントニオ・カナーレスの「トレロ」など闘牛を題材にしたフラメンコ作品もあれば、
闘牛の音楽にフラメンコをつかうという試みも
カマロンやランカピーノ、ディエゴ・カラスコやアルカンヘルで行われている。
闘牛士とアルティスタのカップルも
今のエストレージャ・モレンテとハビエル・コンデをはじめ、
フリオ・アパリシオとマレニ・ロレート、
パストーラ・インペリオとエル・ガジョなどの例がある。
スペインの典型的なイメージと、スペインのインテリには敬遠されがちなふたつのアート。
闘牛の間や闘牛士の身のこなしにはフラメンコと同じ“間”やアイレがある。



5月はバルセロナでフラメンコ祭


セビージャのフェリアが終わり、もうすぐ5月。
今年は例年にない雨の多さでしたが、
やっとお天気も回復してきたかな。

5月には毎年恒例、バルセロナの旧市街シウタ・ベジャのフラメンコ祭が開催されます。
今年は5月19日から22日の4日間。
会場はCCCB、バルセロナの現代美術館です。

フラメンコの本場はアンダルシアだけど
バルセロナのアフィシオンもなかなか。
今をときめくミゲル・ポベーダやマイテ・マルティンをはじめ、
歌ならモンセ・コルテス、ギターでもペドロ・シエラやホセ・ルイス・モントンら、
フラメンコなアルティスタがたくさんでているのはご存知ですよね。

このフェスティバル、
パティオでの公演は野外で、ちょっとアンダルシアのフェスティバルにもにているけど
ホールでの公演はこじんまりとした雰囲気で、ちょっと面白い感じ。
毎年けっこうすごいメンバーが出演しています。
昨年のフェスティバルのビデオがこちらにアップされています。

今年のプログラムは下記の通り。
20時からは舞踊の小公演、22時からがメインの公演。週末は夜中にもルンバ公演。
ルンバってのがカタルーニャぽいでね。

19日20時 [場]ホール [料]10ユーロ
[出]〈b〉フェルナンド・ロメーロ、フアン・カルロス・レリダ、〈c〉フアン・ホセ・アマドール、+ヴィオラ、トランペット
19日22時 [場]パティオ [料]25ユーロ
[出]〈c〉レブリハーノ(〈g〉ペドロ・ペーニャ)、〈b〉ソモロストロ舞踊団(ナチョ・ブランコほか)
20日20時 [場]ホール [料]10ユーロ
[出]〈b〉ベレン・カバネス、モンセ・サンチェス、エリ・アジャラほか
20日22時 [場]パティオ [料]25ユーロ
[出]〈c〉カルメン・リナーレス(〈g〉サルバドール・グティエレス)、〈b〉パストーラ・ガルバン(〈g〉ラモン・アマドール、〈c〉ダビ・ラゴス)
22日20時 [場]ホール [料]10ユーロ
[出]〈b〉ソニア・サンチェス、イバン・ゴンゴラ
22日22時 [場]パティオ [料]25ユーロ
[出]〈c〉マイテ・マルティン(〈g〉フアン・ラモン・カロ)、〈b〉ロシオ・モリーナ(〈g〉パコ・クルス、ラファエル・ロドリゲス、〈c〉ホセ・アニージョほか)
22日24時 [場]ホール [料]5ユーロ
DJチャルリ・ブラウン
23日12時 [場]ホール [料]無料
「セ・ジャマバ・ミゲル」(こどもむけの作品)
23日20時 [場]ホール [料]10ユーロ
[出]〈b〉ラ・チャナ、エバ・ナバス、ロサルバ・サンチェス、〈c〉ドゥエンデ、〈g〉フスト・フェルナンデス
23日22時 [場]パティオ [料]25ユーロ
[出]〈c〉ホセ・デ・ラ・トマサ(〈g〉アントニオ・モジャ)、フラスキート
23日24時 [場]ホール [料]10ユーロ
「ルンバベジャ」

全部の公演をみることのできるパスは105ユーロ、
パティオでの4公演のパスは80ユーロと割引も充実しています。

2010年4月24日土曜日

パコ・デ・ルシアに名誉博士号


5月8日 アメリカはボストンの、バークリー音楽大学が
パコ・デ・ルシアに名誉音楽博士号をおくる。
これまでにドゥーク・エリントン、クインシー・ジョーンズ、デビッド・ボウイ、
パット・メセニー、チック・コリア、ポール・サイモンらも授与されているこの名誉学位、
ラテンのミュージシャンでも、ルーベン・ブラデスやフアン・ルイス・ゲッラも受けたが
スペイン人ミュージシャンでは初めての快挙となる。

これを記念して開かれたスペイン著作権者協会によるウエブには
エンリケ・モレンテやビセンテ・アミーゴ、トマティートらによるメッセージも読む
(一部はビデオ)こともできる。

これにさきがけ、3月29日から4月3日までは
人気プロデューサー、ハビエル・リモンによるフラメンコ講座が
同校で開講されたという。

2010年4月21日水曜日

6月はマドリードのフラメンコ祭「スーマ・フラメンカ」

マドリード共同体は、スペインの首都マドリードを核にした地方。
アランフェスやチンチョン、アルカラなどがその範囲にはいります。
この地方のお役所、つまり都庁みたいなものが主催してはじまったフラメンコ・フェスティバルが
今年も6月に開催されます。
メインとなるのは首都マドリード、テアトロ・デル・カナルでの公演だけど
そのほか近郊などの町の劇場でも公演が行われます。
プログラムは以下の通り。

64(金)21
[出]〈c〉カプージョ・デ・ヘレス、フアナ・ラ・デル・レブエロ、マリアーナ・コルネホ
[場]アルコベンダス アウディトリオ・シウダ・デ・アルコベンダス
65(土)21
[出]〈c〉エストレージャ・モレンテ
[場]サン・ロレンソ・デル・エスコリアル テアトロ・アウディトリオ
65(土)21
[出]〈g〉エンリケ・デ・メルチョール・セプテット
[場]アルカラ・デ・エナーレス セルバンテス劇場
65(土)21
[出]〈c〉ホセ・メネセ、ラ・マカニータ
[場]アルコベンダス アウディトリオ・シウダ・デ・アルコベンダス
65(土)21
[出]〈b〉マリ・パス・ルセーナ
[場]リーバス・バシアマドリー ピラール・バルデン音楽堂
66(日)20
[出]〈c〉ダビ・パロマール
[場]マドリード ピラール・ミロ文化センター
69(水)2030分「アントロヒア」
[出]〈g〉マノロ・サンルーカル
[場]マドリード カナル劇場サラ・ロハ
610(木)2030
[出]〈c〉ミゲル・ポベーダ
[場]マドリード カナル劇場サラ・ロハ
611(金)2030
[出]〈b〉イスラエル・ガルバン
[場]マドリード カナル劇場サラ・ロハ
612(土)2030分「ルイード」
[出]〈c〉ホセ・メルセ
[場]マドリード カナル劇場サラ・ロハ
612(土)20
[出]〈c〉へスース・コルバチョ
[場]マドリード ピラール・ミロ文化センター
612(土)21
[出]〈c〉カルメン・コルパス
[場]ラ・カブレーラ 地域センター
612(土)22
[出]〈c〉タレゴン・デ・コルドバ、ソニア・ミランダ
[場]トーレラグーナ マジョール広場
613(日)20時「グリト」
[出]〈b〉ホセ・マジャ、アルフォンソ・ロサ
[場]マドリード カナル劇場サラ・ロハ
613(日)21
[出]〈c〉グアディアナ、パコ・タラント
[場]バシアマドリー ピラール・バルデン音楽堂
613(日)20
[出]〈c〉ダビ・ラゴス
[場]マドリード ピラール・ミロ文化センター
615(火)2030分「パブロ・デ・マラガI
[出]〈c〉エンリケ・モレンテ
[場]マドリード カナル劇場サラ・ロハ
616(水)2030
[出]〈b〉パストーラ・ガルバン、ホアキン・グリロ
[場]マドリード カナル劇場サラ・ロハ
617(木)2030
[出]〈c〉バルデラマ
[場]マドリード カナル劇場サラ・ロハ
618(金)2030分「ラス・ミーナス・デ・エヒプト」
[出]〈c〉アルヘンティーナ
[場]マドリード カナル劇場サラ・ロハ
619(土)2030分「アルテナティーバ」
[出]〈b〉アントニオ・カナーレス、アマドール・ロハス
[場]マドリード カナル劇場サラ・ロハ
622(火)22
[出]〈c〉アルヘンティーナ
[場]マドリード コンプレホ・エル・アギラ
623(水)22
[出]〈c〉エストレージャ・モレンテ
[場]マドリード コンプレホ・エル・アギラ
624(木)22
[出]〈c〉バルデラマ
[場]マドリード コンプレホ・エル・アギラ
625(金)20
[出]〈c〉パコ・デル・ポソ
[場]マドリード インスティトゥート・フランセス
625(金)22
[出]〈c〉マリア・トレド
[場]マドリード コンプレホ・エル・アギラ
626(土)22
[出]〈g〉ヘラルド・ヌーニェス
[場]チンチョン マジョール広場
626(土)21時「ソロ・フラメンコ」
[出]〈b〉エル・グイト
[場]トーレロドーネス ブルバール劇場
626(土)20
[出]〈b〉フアン・デ・フアン
[場]ビジャビシオーサ・デ・オドン テレサ・ベンガンサ音楽堂
72(金)20
[出]〈c〉ホセ・メネセ、〈b〉ベレン・ロペス
[場]マドリード パコ・ラバル文化センター
72(金)22時「パブロ・デ・マラガII
[出]〈c〉エンリケ・モレンテ
[場]ブイトラゴ・デ・ロソジャ


スペイン国立バレエ団アトリエスタジオ


4月21日から25日まで、マドリードのマドリード劇場で
スペイン国立バレエ団アトリエの公演が行われます。
アトリエはバレエ団の、いわば下部組織。
2006年に創立されたもので、16歳から21歳までの16人が活動しています。

演目は
ルイジ・ボッケリーニの曲に振り付けた「18世紀の夜明け」
マヌエル・インファンテ音楽の「トリプティコ(アンダルシアの舞踊)」
という2作品はバレエ団芸術監督、ホセ・アントニオによる振り付け。
それに、以前、ホセ・アントニオのアシスタントを勤めていたフェルナンド・ロメーロ振り付けの「パシート・ア・パソ」
の3作品。
エスクエラ・ボレーラ、ダンサ・エストゥリサーダ、フラメンコ。
スペイン舞踊みっつのジャンルを一度に観ることができます。

2010年4月19日月曜日

 今日からフェリア、春祭りのはじまるセビージャです。
なんかまだ天気はいまいちで、昨日もお風呂の栓抜いたんですか?ってなものすごい雨。
フェリア会場の紙提灯も雨を見据えて、まだつけてないそうです。裸電球だけ。
今日も昼の間、雨、火曜は曇りの予報けど、水曜も木曜も降るらしい。
レインコートに水玉でもつけますか。。。
しかし今年の天気は異常。こんなに雨の多い冬は20年なかったよーな。。。


その翌週、28日水曜日には
旧万博会場にあるアンダルシア現代美術センターで
ラ・チョニの公演が行われます。開演は21時。
ラ・チョニは彼女がセビージャ大学生だった頃に知り合ったけれど
その後、タブラオやジェルバブエナ舞踊団などを経て、
2007年からは自分のグループでも活躍中。
バタ・デ・コーラも上手な、なかなかの実力派です。
ちなみに伴奏はラウル・カンティサノ、歌はアリシア・アクーニャの予定。
たしか入場無料だったと思うので、早めに行かないと席もない、立ち見ですら入れない、
ということになってしまいますのでご注意。

2010年4月18日日曜日

第22回モン・デ・マルサン・フラメンコ祭

フランスの、スペイン国境に近い小さな町、モン・デ・マルサン。
この町で毎年7月に開催されるフラメンコ・フェスティバルは
こじんまりとした町さながらに、アットホームな雰囲気で
アフィシオナードたちはもとより、アルティスタたちの評判もいい。
その今年のプログラムが発表になった。



75(月)21時「ラ・ディフィシル・センシジェス」
[出]〈b〉ラファエル・アマルゴ舞踊団
[場]フランス モン・デ・マルサン エスパス・フランソワーズ/ミッテラン
76(火)1930分「エン・バル・イベリア」/「アマジャ」
[出]〈c〉セグンド・ファルコン、〈g〉パコ・ハラーナ/〈b〉フアナ・アマジャ舞踊団
77(水)1930分「ドス・ラマス」/「プーロ・イ・ホンド」
[出]〈b〉ハイロ・バルール、アンヘリータ・バルガス、/〈c〉アルカンヘル、〈g〉ミゲル・アンヘル・コルテス
78(木)1930分「アル・ソン・デ・モライート」/「バングアルディア・ホンド」
[出]〈g〉モライート・チーコ、〈c〉ラ・マカニータほか、/〈b〉アンドレス・マリン
79(金)1930
[出]〈b〉ベレン・ロペス、〈c〉ガブリエル・デ・ラ・トマサ、マリ・ペーニャ
[場]モン・デ・マルサン カフェ・カンタンテ

けっこう渋いものまでなかなかのラインナップでありますな。
このほかにも7日はフェリペ・マト、8日はトロンボによる屋外での公演(18時から)などもありますし、夜は公演のあと、フランス人アルティスタたちの公演もあります。
一日中、フラメンコ三昧が楽しめるというわけ。

フランスではこのフェスティバルのように長年続いている催しもあるんですね。
というのもやっぱ、スペインのお隣、という地の利かな。
日本だと1公演だけのためになかなかスペインからアルティスタよべないし。
日本ももっとスペインに近ければこんな風なフェスティバルもあったんだろうけどな。。。

2010年4月16日金曜日

ベレン・マジャとオルガ・ペリセ

スペインに帰って翌日早速カハソル文化センターへ。
お目当てはベレン・マジャとオルガ・ペルセの「スイート(組曲)」
3月8日、先のヘレス・フェスティバルで
「バイレス・アレグレス・パラ・ペルソナス・トゥリステス」を上演、
好評だったこのコンビによるこちらの作品は別物ということだが
おそらくヘレスのフェスでの作品がベースになっているのだろう。

最初はベレンのグアヒーラ。

金色の衣装で長いスカーフのようなうす布のついたアバニコを使って踊る。
グアヒーラにアバニコはつきもの。
だが、このタイプのアバニコは以前やはりベレンの踊ったアルベニスの曲でみただけだ。
新体操のリボンのような、マントンのような、不思議な効果をだしてなかなか。
ヘスース・コルバチョの繊細な歌声もグアヒーラにふさわしい。
続いては花でいっぱいの帽子であらわれたバタ・デ・コーラのオルガによるベルディアーレス。
花帽子は民謡の、マラガの山間で歌われるベルディアーレス楽団のユニフォーム。
カスタネットをつかって踊られるそれは、かつての定番のベルディアーレスとは違い
よりエレガントでよりフラメンコだ。

無伴奏でのファンダンゴ・デ・ウエルバも、かつての定番ではもちろんなく、
やはりよりエレガントでよりフラメンコ。
かつてカンテ・グランデ、カンテ・チーコといういい方があったが、
フラメンコの大小は曲種にではなく、演者に、そのパフォーマンスーどう歌うか、踊るかーにある、
などという論を思い出す。はい。これは間違いなくバイレ・グランデです。
ハビエル・パティーノのギターソロに続いてはベレンのタンゴ。
タンゴというと、官能的なイサベル・バジョンやおきゃんなパストーラ・ガルバンのものが思い出されるが
ベレンのタンゴもグラシアがあって楽しく二重丸。通常とは反対にタンゴがティエントへと続く。
カンテソロのアレグリアスのあとベレンのソレア、そしてオルガのシギリージャ。
ヘレスのフェスティバルで新人賞を受賞したオルガ。
数年前にコルドバのコンクールで優勝し、またマルコ・フローレスらとの共演で実績をつんできた実力派。
小柄できゃしゃな彼女だけど舞台では大きくみえる。
テクニックもしっかりしているし、女性らしい優美さもある。いい舞踊手だ。
が、なぜだか私にはどこか物足りない。
これという彼女ならではのなにかを感じ取ることが難しかったのだ。
ってないものねだりなような気もするけど、踊りを通して伝わってくる彼女自身、というのが希薄、というか。
ベレンのような、個性をあまり感じさせてくれない。
テクニックがなければ表現できない。でも伝えたいなにかがなくては。
いや、彼女にもあるのだと思うのだけど、私には届かなかった、ってことだけかも。
もうちょっといろいろ観たい踊り手であります。
ベレンはよかったよ。やっぱ安心してみていられる。
自分のスタイルがあるし、風格のようなものもでてきたね。


2010年4月13日火曜日

「デマエストロス」

先日の日本公演でフラメンコ・ギターの歴史に残る先駆者たちの曲を演奏し
観客の度肝を抜いたのは若きギタリスト、ハビエル・コンデ。
その模様は17日20時からBS JAPANで放映されます。

フラメンコギターは
演奏者が自作の曲を演奏する、という暗黙の了解が原則のようにあって
ハビエルもかつて
誰よりも巧い演奏を聴かせたにも関わらず
コンクール優勝が果たせなかったこともあります。
演奏家としてだけでなく、いわば作曲家としても
評価されるわけで
そこらへんはクラシックのギタリストと大きく異なりますね。
そんな中で、歴史に残る巨匠たちの素晴らしい作品を
現在のテクニックで演奏する彼の存在は特異なもの。
と思っていたのですが、
フラメンコ古典の復活は彼だけではないようです。
4月15日20時から、セビージャのコンセルバトリオで開催される公演
「デマエストロス」
セビージャのコンセルバトリオでフラメンコギターを教えるアントニオ・ボニージャと
その愛弟子でクラシックギターをも学んだギジェルモ・リヘーロによる
ギターデュオのリサイタル。
演奏曲は
ラモン・モントージャのロンデーニャ
ニーニョ・リカルドのアレグリアス
サビーカスのソレア
マリオ・エスクデーロの「インペトゥ」
そしてクラシック曲である
アルベニスの「セビージャ」や
ファリャの「ファルーカ」など。

ん?
そういえば舞踊でも
ラファエル・エステベス/ナニ・パーニョスが
ピラール・ロペスらの振り付けに想を得た作品を展開。
共演したコンチャ・ハレーニョやロシオ・モリーナも
クラシックな振り付けをみせてくれた。

モダンから古典へ。
潮目が変わった?
うん。
新しいものをつくるにはまず歴史を確認。
古いものにこそ前進へのヒントがある。
とゆーわけで
今、古典が新しい。

2010年4月12日月曜日

第21回タラント・フラメンコ祭

4月23日20時30分から、
第21回フェスティバル・フラメンコ・ポル・タラントスが開催される。

今年の出演は
ギターソロで
レオ・デ・アウロラ
カンテは
ベテラン、ラモン・エル・ポルトゥゲス
(伴奏は息子、パケーテ)
カンカニージャ・デ・マルベージャ
(フアン・アントニオ・ムニョス伴奏)
中堅で舞踊伴唱エル・ファロ
(伴奏カーノ)
そしてアルメリアのカンタオール、エル・ティティ
(伴奏はニーニョ・デ・フラグア)
入場料は15ユーロ。
入場券はこちらから。

サン・フアン・エバンへリスタ大学寮(コレヒオ・マジョール)の講堂は
コンサートの会場として“ジョニー”の愛称で親しまれている。
一時、存続の危機にもあったがなんとか継続。
フラメンコ公演も定期的に開催されている。

2010年4月9日金曜日

日本のフラメンコ最前線5 magma vol.2

代々木上原の小さなホール、MUSICASAに
若手バイラオールが集合。
magma vol.2は矢野吉峰リサイタルと伊集院史郎/池上源太郎/末木三四郎、
同じ会場でふたつの公演を一日で観ることができるという面白い試み。

9日は18時からが矢野リサイタル。
鍵田真由美/佐藤浩希舞踊団で活躍中で、その実力は実証済みの矢野
今回もしっかりした技術できっちりみせてくれた。
おそらくレトラまできちんと決めて細部まできっちり構成された振り付けは佐藤浩希。

ゲストの松彩果とのオープニングはブレリア。
といっても、
ハレオ・エストレメーニョやレブリーハのロマンセ風ブレリア的な
ディエゴ・カラスコの「エア」的なブレリア。きれいにまとまっている。
続くカンティーニャはひたすらサパテアード。
カンティーニャ的なのびやかさやグラシアがもっとあってもよかったかな、とも思う。
パレハ2曲めはタンゴ。最初ソロで踊る松は鉄火肌フラメンカ。
匕首をつきつけてくるようなアグレッシブさ、テンペラメント。
身体がしっかりできているし、うまい踊り手。
そのままでも個性的だけど、欲をいえばコケティッシュさや色気がほしいかな。
そのまま曲調かわってカバーレス。パレハの踊りのわりに、
二人のからみが少ないのは私的にはちょっと残念。
松のソロ、ソレアはうまいんだけど、ちょい長い。
全体的にもっと整理するともっとずっと良くなるのでは?
サパテアードがフェイドアウトしていく最後のトナの終わり方はよかったなあ。

19時45分からは男3人そろいぶみ。
ばりばり踊ってたかと思うとさっと崩すといった面白い振り付けの
ゆっくりとしたブレリアのオープニングで
すでに三者三様の個性を発揮。
フラメンコな気合いの伊集院。
生真面目な表情の池上。
まーるい感じでグラシアのある末木。
伊集院と末木の、面白い振り付けでのティエントに引き続きそれぞれのソロ。
池上はアレグリアス。末木はソレア・ポル/ブレリア。伊集院はファルーカ。
回転のときの身体の芯のぶれや姿勢
(ときに肩があがったままになったり、肩が前にでたままになったり、など)
舞台にでていくときの歩き方があまり意識されてないのが残念、などテクニックや
サパテアードの音色にもっとニュアンスの違いがでたらいいな、とか表現に
突っ込もうと思えば突っ込めるけど
まずはこれだけいろんな個性のバイラオールたちがでてきているということだけでも満足。

はい。これからも皆さんがんばってくださいまし。




2010年4月8日木曜日

若者コンクール

アンダルシアの若者フラメンコ・コンクールの決勝が
6月5日ヘレスのビジャマルタ劇場で行われるそうです。
予選を勝ち抜いた24人が
フォスフォリート、カルメン・リナーレス、
ご当地出身ギタリスト、パコ・セペーロ、
そして踊り手マティルデ・コラル
(彼女はご主人を亡くしたばかりなのでこれは主催者側の希望だが実現するか未定)
といった審査員たちの審判を待ちます。
各部門の優勝者たちはこの秋のビエナルの舞台に立つことが約束されています。

今年は毎年恒例のラ・ウニオンのコンクールのほか
3年に1度のコルドバのコンクールも開催されます。

コンクールはこれから世界を舞台に活躍せんという若者たちを後押ししてくれる。
実際、教室や音楽舞踊学校を卒業し、
タブラオなどで経験を積み始めたアルティスタたちを
より大きな世界への扉を開いてくれる。
それまでは近くの人、
ごく限られた人にしか見聞きしてもらえなかったものが、
一般のフラメンコ・ファンや、業界人たちにも広く観てもらえる。
より多くの舞台にたつチャンスが与えられる。

アートはスポーツのように数字に結果が現れるわけではないし
残念ながら、その結果がいつも、
すべての人の満足のいくものというわけではないけれど、
それでもコンクールのために集中的に、目標をもって練習したりすることも含め、
大きな舞台でのコンクールに出場することはいいことなんじゃないかな。
今年もすてきな新人たちがでてきますように。

2010年4月6日火曜日

ペリコン千一夜物語

聖週間も終わり、フェリアまでひといきついているセビージャ。
今週末はトリアーナのサラ・カチョッロで
ホセ・ルイス・オルティス・ヌエボの独り舞台、
 「ラス・ミル・イ・ウナ・イストリア・デ・ペリコン・デ・カディス
/ポル・ドス・レトラス」
が上演される。
ホセ・ルイス・オルティス・ヌエボは
詩人。元ビエナル監督。フラメンコ研究家。
彼自身がカディス派のカンテの巨匠、
故ペリコン・デ・カディスに聞き書きした本を基に
構成されたこの舞台、
ほら吹きペリコンの荒唐無稽、抱腹絶倒の物語がちりばめられ 
楽しく過ごせること間違いなし。

サラ・カチョッロは
聖週間の金曜日に山車をだした
カチョッロ像(正式名はクリスト・デ・ラ・インスピラシオン)
のある教会にほど近いトリアーナ地区にある。
ふだんはバルだがときどき
芝居やコンサート、映画会などが開かれる
小さなスペース。

上演は
4月9日21時
4月10日20時から
入場料10ユーロの元は絶対とれるはず。

なお原作もおすすめ。
今あるのは3社めの版。
最初のも、その次のももっているけど
これが字も大きく読みやすいかな。
 

2010年4月5日月曜日

第12回ティオ・ルイス・デ・ラ・フリアーナ祭


今週末はマドリードのイサベル・デ・エスパーニャ大学寮にて
第12回ティオ・ルイス・デ・ラ・フリアーナ祭が開催されます。

7日水曜日がコルドバ出身の歌い手エル・ペレのリサイタル、
8日木曜日はグラナダ出身のバイラオーラ、ルシア・グアルニド
9日金曜日はカディス県アルコス・デ・ラ・フロンテーラ出身で
今年「フラメンコ・オイ」の最優秀男性舞踊家賞を受賞した踊り手マルコ/フローレスと
マドリード生まれでホセ・アントニオ監督時代のアンダルシア舞踊団出身のグアダルペ・トーレスが出演。
ホールでは今年は、伝説的名舞踊家ピラール・ロペスの思い出に、と題した写真の展覧会も開催されます。

2010年4月4日日曜日

ジェニファー・アニストンが

4月1日付のこんなニュースを目にした人はいませんか?
ジェニファー・アニストン、情熱のフラメンコでジェラルド・バトラーにアピール?
新作映画プロモーションでスペイン訪問中にフラメンコ・スタジオを訪れ、
プロのダンサーたちと踊った、とありますが、
実際に訪れたのは老舗タブラオ、コラル・デ・ラ・モレリア
で、フィナーレに踊り手たちにうながされ舞台に上がった、ということ、なんであります。

スペインといえばやっぱフラメンコだよね、
というわけで、スペインを訪れる映画スターや有名ミュージシャンも
よくフラメンコを観に行きます。
圧倒的に多いのがこのコラル・デ・ラ・モレリアなんですね。
このホームページみると出てくる、出てくる有名人の顔。
ピカソからマライア・キャリーまで、いやあ、すごすぎ。
そんな有名人たちがフラメンコをどう思ってるか、
なんだかとっても知りたいぞ。