2010年11月30日火曜日

フラメンコと教育

第4回 フラメンコと教育のセミナーが今日、11月30日から12月2日まで
ヘレスのアンダルシア・フラメンコ・センターで開催。

これはフラメンコを学校、義務教育の中でどう教えて行くか、というテーマ。
アルコスの学校での実例の紹介があったり
フラメンコを手話で歌い踊る“ニーニャ・デ・クポネス”
(08年のビエナルに出演した聾唖のバイラオーラ)の話や
コミックでフラメンコに親しむ、というものなど盛りだくさんの内容。

フラメンコを小学校でどう教えるか、という課程はまだ確立されてはおらず
それぞれの学校でいろいろなアプローチがされている。

フラメンコを小学校に! は大賛成だけど
試験とかあると嫌いになる子も出そうだし
とりあえずは、せめてフラメンコの故郷アンダルシアのこどもたちは
一度はフラメンコの舞台をみるのが必須、とかしたらどうだろう。

なにもこどもむけの作品である必要はないと思うけど
短めに、フラメンコとはどんなものか、をみることができると
興味をもつ子はいるだろう、などと思うわけで。

無理強いせず、
でも一度はみてほしいよね、フラメンコ。

2010年11月28日日曜日

ヌエボ・フラメンコの時代

昨日、マリオ・パチェーコのことで
フラメンコの、ひとつの時代を支えた人が去っていってしまった。」
と書いたのだが、そのひとつの時代について考えている。


マリオとともに、ヌエボ・フラメンコの時代も去っていってしまったのではないか、
などと。


ヌエボ・フラメンコは、マリオのレコード会社、ヌエボス・メディオスが
それまでのフラメンコの範疇に入りきれないような、
新しい潮流のフラメンコにつけた名前。
ケタマやパタ・ネグラなど、ほかのジャンルの音楽とフュージョンしているものや
ホセ・エル・フランセスなどのようにポップなもの
リケーニ、トマティートなど当時の若手ギタリストたちのソロや
ドゥケンデやポティートら若手カンタオールたち、
ホルヘ・パルドら他ジャンルのミュージシャンたちのフラメンコへの接近…
すべてをひとくくりにしてしまっていたのだから
ずいぶん乱暴な話でもあったけど。


パコ・デ・ルシアが開いた道に続く人たち、
といってもいいかもしれない。
パコとカマロン
ローレ・イ・マヌエルとトリアーナ(ロックグループ)
70年代に生まれた流れがひとつのかたちになったのが
ヌエボ・フラメンコ、だったのだろう。


パコ・デ・ルシア・セクステットのようなコンボ形式でのフラメンコ
新しいハーモニー、リズムのとりかた…
最初は新鮮だったものがいつかスタンダードとなり
“ヌエボ”、新しいという言葉がいつか古く感じられるようになってしまった。


ケタマやパタ・パタ・ネグラ、ホセ・エル・フランセスらの流れは
今、“フラメンキート”とよばれるフラメンコ風味のポップなどにうけつがれ
ギターはもちろん、カンテのリサイタルにギター以外の楽器が入ることも珍しくない。


今はかえって、伝統や古典に学んだものが新しく思えたりする。
コピーではないよ。その人なりに咀嚼したものでないとね。


時代は回る。時代は変わる。


マドリードのフラメンコ・バル、カンデーラのオーナー、ミゲルが亡くなり
マリオが亡くなり、
フラメンコのひとつの時代というものが終わり、流れていく。
そんな気がする。


舞踊にはイスラエル・ガルバンという怪物、ものすごい天才がいるわけだが、
歌やギターにも、私たちがひっくりかえるような、そんな才能が生まれてくるのは
そんなに遠い日ではないだろう。





2010年11月27日土曜日

マリオ・パチェーコ死す

11月26日、マリオ・パチェーコが亡くなった。まだ60歳という若さ。

写真家でレコード会社、ヌエボス・メディオス社長。
写真家としてはカマロンの「レジェンダ・デル・ティエンポ」のジャケットなどの作品がある彼が、レコード会社、ヌエボス・メディオスを創立したのは1982年。

マドリード、80年代のポップカルチャーの大きな動きである、
〈モビーダ〉の一端をにない(当時の得難い写真を多く撮影している)、
ラ・モデ、ゴルペス・バホスらのアルバムをリリース。

そして1983年にはペペ・アビチュエラ、初のソロアルバムを出している。
その流れから

パタ・ネグラ、ケタマ、
ラファエル・リケーニ、ホルヘ・パルド、トマティート、
カルロス・ベナベン、ライ・エレディア、バルベリア・デル・スール、
ドゥケンデ、ホセ・エル・フランセス、ディエゴ・カラスコ、
インディオ・ヒターノ、ラ・マカニータ、グアディアナ、
ディエゴ・アマドール、ティノ・ディ・ジェラルド、
トマシート、ポティート、ミゲル・ポベーダ、
フアン・マヌエル・カニサーレス、ホセ・ソト…

多くのフラメンコたちがこのレーベルから育っていった。
いわゆる「ヌエボ・フラメンコ」の生みの親でもある。

それまでのルス・チュンギートスやロス・チーチョスのようなルンバでもなく
よりフラメンコな、でもポップな、パタ・ネグラやケタマらの音楽に
この名前をつけることでより世界に浸透していったのだ。

お金も名もなく、でも志と夢があったフラメンコたちを、
ミュージシャンたちを支えた一人。
フラメンコの、ひとつの時代を支えた人が去っていってしまった。

2010年11月26日金曜日

ドミンゴ・オルテガのクルシージョ

12月13日から17日まで
マドリードのアモール・デ・ディオスで
ドミンゴ・オルテガによる
ブレリア・デ・ヘレスのクルシージョが開講されます。
13時から14時、スタジオ4番だそうです。

マドリードにいながらにして
ヘレスのブレリアが学べるチャンス!

2010年11月24日水曜日

コルドバのコンクール結果 速報

コルドバのコンクールの結果が発表されました。

ギター部門がアントニオ・レイ、
カンテ部門がアントニオ・メヒアス、
バイレ部門は該当者なし。

バイレの受賞がないのは残念な限り。。。

2010年11月20日土曜日

先週、11月15日に第1回が放映されたカナルスールの新しいフラメンコ番組、
「エル・ソル、ラ・サル・エル・ソン」
その昔、パコ・デ・ルシアのマネージャーだったこともある、
人気司会者ヘスース・キンテーロと
ロンダ闘牛場のオーナーでもある、祖父も父も闘牛士だったという名門出身の
人気闘牛士フランシスコ・リベラ“パキリ”が司会をつとめる。


第1回目はオープニングの特別番組で、ミゲル・ポベーダやアルカンヘル、
パストーラ・ガルバン、ディエゴ・カラスコ、パンセキート、
レブリハーノ、カルメン・リナーレスらが出演し
視聴率13.7%を達成したとか。


この番組はこちらで観る事ができます。


22日に放映予定の第2回目は
ニーニャ・パストーリ、モライート、ディエゴ・カラスコ、アントニオ・エル・ピパ、
アルヘンティーナ、シガーラらが出演予定だそうです。



2010年11月19日金曜日

コルドバのコンクール プログラム

12人の予選通過者の出演日が決まりました。
毎日1ジャンル1人ずつの出演。
同じ日にしないということは強い印象が残るかどうかが鍵かも。

なお、開演は全日21時。

20日
サルバドール・グティエレス(ギター)
アロラ・カラ(カンテ)
インマクラーダ・アランダ(バイレ)
21日
ニーニョ・セベ(ギター)
セバスティアン・クルス(カンテ)
ラ・チミ(バイレ)
22日
ラウル・マノラ(ギター)
ニーニョ・デ・ラ・フラグア(カンテ)
ダビ・ロメロ(バイレ)
23日
アントニオ・レイ(ギター)
アントニオ・メヒアス(カンテ)
アドリアン・サンチェス(バイレ)

2010年11月18日木曜日

カンテ・フラメンコへの招待席IV

ギタリスト、俵英三プロデュースのカンテ・フラメンコへの招待席。
11月17日、新宿「エル・フラメンコ」で開催された公演は満員御礼。
それだけ日本のカンテ熱が盛り上がっている、ということか。

小里彩の歌うローレ・モントージャの「ヌエボ・ディア」にはじまったこの公演、
日本のフラメンコがこれまでとまた違った局面にさしかかってるように思えました。

小里のローレ(マヌエル・モリーナのつま弾きをなぞる俵のすばらしさ)、
井上恵理のレブリーハ(これ、聴けば誰でもすぐわかる!)
能登晶子のウトレーラ/レブリーハ(この人見た目もヒターナのマダムぽい)、
俵のモロン/ヘレス(親指いきてます!)
井山直子のコンチャ・バルガス!
と、それぞれの、好みがそのまま彼らのアルテに反映されているのにオレ!
自分の好きなものをやる。
そうです。それが正解です。
フラメンコはしょせん、趣味、好みのもんなんです。
オレはこれがこんだけ好きなんだぞ〜
という気持ちにあふれていて、それが、伝われば、日本人だろーが、ヒターノだろーが、
スペイン人だろーが、アフリカ人だろーが、関係ない。
それがフラメンコなのであります。

そ、フラメンコはね、結局は愛なのよ、愛!

というわけで、上手になぞっただけのフラメンコよりも百倍いい、
気持ちの伝わるフラメンコでした。

もちろん、歌い手たちの胸のひらきかた(姿勢というより、緊張からか肩が前にでてちじこまってしまってるのは残念)や、発音(rrがちょっと弱い人あり)や、音程、リズム、
最後の音の消し方とか、気持ちの持って行き方(いわゆるセンティード)とか、
もっともっとよくするための鍵もいっぱいあるとは思いますが、
まずは大本の鍵、愛があるからだいじょうぶでしょう。

井山はほんといい顔して踊ってくれた。
踊るのが楽しくてしょうがない、って言う、幸せな顔。
その幸せ感、こっちにも伝わります。
歌が踊りを伴唱するのではなく。踊りが歌を伴奏するという感じなので
自分のソロを踊るよりも難しかったと思う。

俵さんのおいっこ的存在?の、フェステーロ、ルイス・ペーニャ。
ヘレスやセビージャのフィエスタのアイレが混在して
彼のアイレをつくってます。
細部に注目。
コンパスのおしまいをどう帳尻あわせるか、とか、えーっすね〜
オリージョ・デ・プエルト(ランカピーノのお兄さん)や
パコ・バルデペーニャら、今は亡き名手たちや
セビージャの今のフィエスタの華、マルセジェたちなどを思い出します。
うん、こうして伝わっていくんだよね。。。

2010年11月17日水曜日

フラメンコが世界遺産に!

やりました!

フラメンコがユネスコの無形文化遺産に認定されました!

世界遺産です!


無形文化遺産についての説明はこちら

日本の芸能では能楽、人形浄瑠璃、歌舞伎
そのほかかにも、韓国のパンソリやインドネシアの人形劇ワヤンなどが
認定されています。

折からケニアのナイロビで開催されていたユネスコの会議で決定されたものですが、
このために熱烈なプロモーションを展開していたアンダルシアではよろこびもひとしおです。

2010年11月15日月曜日

コルドバのコンクール 決勝進出者発表

コルドバのコンクール 準決勝進出者が以下の通り、発表された。
この12人は、20日から23日までの準決勝に進出、
4人が選ばれ、27日の決勝に進出するとか。

来日経験のある錚々たるプロたちの顔も外国人アーティストも並び
結果が楽しみだ。

カンテ
アロア・カラ・ルケ(カディス県プエルト・デ・サンタ・マリア)
セバスティアン・クルス・マルケス(ウエルバ県ベア)
ペドロ・ガリード・フェルナンデス“ニーニョ・デ・ラ・フラグア”(カディス県ヘレス・デ・ラ・フロンテーラ)
アントニオ・ホセ・メヒアス・ポルテーロ(コルドバ県モンティージャ)

バイレ
インマクラーダ・アランダ・エスペホ(コルドバ)
ラクスミ・ペカレック・バシレ“ラ・チミ”(アメリカ)
ダビ・ロメーロ・カルドーソ(バルセロナ、オスピタレ・デ・ジョブレガ)
アドリアン・サンチェス・ゴンサレス(グラナダ)

ギター
サルバドール・グティエレス・アギラール(セビージャ県エシーハ)
セベリアーノ・ヒメネス・フローレス“ニーニョ・セベ”(コルドバ)
ラウル・マンノラ(フィンランド)
アントニオ・レイ・ナバス(カディス県ヘレス・デ・ラ・フロンテーラ)

2010年11月14日日曜日

ファルキートのクルシージョenバルセロナ

ファルキートの集中クラスが
11月26〜28日にバルセロナ近郊バダローナの
フラメンコ舞踊スタジオ、オルチで開催されます。

初級は金曜が19時〜20時15分 土日が13時から14時15分

中上級は金曜が20時15分〜21時30分 土日は14時15分〜15時30分

定員制

希望者は
info@orchi.es
まで

http://www.facebook.com/profile.php?id=100000101515811#!/orchi.flamenco

2010年11月13日土曜日

ラテングラミー賞はトマティートに

毎年恒例ラテングラミー賞
フラメンコのベストアルバム賞はトマティートの「ソナンタ・スイート」に決定した。

なおほかの候補作は
フランス人ギタリスト、フアン・カルモナ「エル・センティード・デル・アイレ」、
ホセ・メルセ「ルイード」
エンリケ・モレンテ「モレンテ・フラメンコ」
ニーニョ・ホセーレ「エスパニョーラ」
でありました。

2010年11月12日金曜日

西日暮里アルハムブラ

10日水曜日、おそらく20年ぶり?くらいで訪れた西日暮里アルハムブラ。
フラメンコの舞台のあるスペイン料理店で都内でも老舗のひとつ。
目的は森田志保と鈴木敬子。
え?
って思うでしょ? 
私もそうでした。
日本のフラメンコを代表する舞踊家たちが
スペイン料理のお店で見る事ができちゃうんです。

19時からのショーは約1時間。
ソレアによるプレゼンテーションではじまります。
続いて稲田進のアレグリアス。 気迫十分。
なんだけど、曲が聞こえない状況でみたらソレアか
ソレア・ポル・ブレリアスに みえちゃうかもしれない。
アレグリアスの空気感が感じられないのだ。
フラメンコはその曲ごとに性格とでもいうべきものがあって
それを表現するのも重要だと私は思うのだけど。

続く鈴木敬子のグアヒーラ。
彼女の踊りはいつでも破綻がなく、安心してみられる。
定番アバニコをつかってのもの、なんだけど

下だけでなく、上の面をもってみせたり、とその使い方に工夫が満載。
でもって、そこかしこにセビージャが香る。
彼女がセビージャに住んでいたのはもう20年も前のことなのにね。
もちろん、グアヒーラらしい、明るく、ちょっとのんびりした感じとかもあって満喫。

森田志保はソレア。
黒い衣装で、中へ、中へと、ソレアの曲の中に沈み込んで行くようなソレア。
こういうものが好きという志向、
こういうものが踊りたい、こういうものを表現したいという志、
それがまっすぐ伝わってくる、そんなバイレ。
いろいろと条件の限られた、 タブラオの小さな舞台でこれなんだから、
劇場でのリサイタルはさぞかし。。。
いつか必ず観てみたい。

最後のフィン・デ・フィエスタは三人揃って。
聞けば、森田と鈴木は初共演とか。
ふだんはそれぞれ、独自の活動をしている踊り手が
タブラオの舞台で共演する。
そんなやわらかでしなやかでゆるやかな連帯感っていいね。

20年前、アルハムブラでのフラメンコにカンテがあることはめったになかった。
でも今、プログラムをみると毎回ある。時代は変わりました。

2010年11月11日木曜日

「サビーカスを思い出して」

という催しがサビーカスの生まれ故郷、パンプローナで
11月12日から「サビーカスを思い出して」という名の催しがはじまる。
17時から、マヌエル・モリーナによるカンテのクラスが、
19時半からはマヌエル・モリーナとフランシスコ・ハビエル・イラソキによる座談会で
サビーカスの足跡などをたどり、
翌13日には10時からファルーのバイレのクラス、
12時からはアントニオ・サンチェスのギターのクラスがあり、
14日21時にはパコ・デ・ルシアのコンサートが行われる。
つまり公演の前日に、
パコのグループのメンバーによるマスタークラスを受講できるというわけ。

なお、パコの公演の前に、マヌエル・モリーナがサビーカスに捧げた曲を披露するとのこと。
公演の前売り券はこちらで。

2010年11月10日水曜日

平富恵

ポップなアレンジのバッハでのオープニングから
タンギージョでのアンコールまで1時間半
スペイン舞踊とフラメンコをたっぷり楽しませてくれた。

クラシコ・エスパニョールとよばれる、
フラメンコやエスクエラ・ボレーラのテクニックをつかって
クラシック音楽にあわせて踊られるものは、
日本ではあまり知られていないかもしれないが
フラメンコと表裏一体とでもいうべきところもある
美しい舞踊である。
スペイン国立バレエ団の「ボレロ」などをおもいだしてほしい。
ここで必要とされる回転などのきちんとしたテクニックは
フラメンコでもいかされる。

小松原舞踊団出身の平は、2003年、ラ・ウニオンのコンクール準決勝に出場し
その美しく優雅なバタ・デ・コーラつかいで注目をあびた人。
彼女の主宰するスタジオではフラメンコだけでなくクラシコも教えるというだけに
今回のリサイタルもはじまりはクラシコ。

カスタネットをつかったバッハによるオープニングから、
ゲストの元スペイン国立バレエ団プリンシパル、ルイス・オルテガのソロ。
サラ・バラス舞踊団の、という方が今は通りがいいかもしれないが、
きちんと基礎のあるしっかりした踊り手だ。ここでもあぶなげなくみせる。

バタ・デ・コーラとアバニコをつかっての華やかなアストゥリアス。
バタが軽いせいか、足もとがかなりみえすぎてしまう。
ハビエル・サンチェスのソロは振りも曲も同じような繰り返しが少しくどいかも。
女性たちの「はかなき人生」は編曲と衣装こそネオ・クラシコ風だが、
振り付けはオーソドックス。

その次の「タクトゥタ」と題された、いわゆる口タブラの曲で
平とハビエルが踊る曲が良かった。
同じような試みはかつてベレン・マジャとラファエラ・カラスコもやっているが
男装の平とハビエルとのかけあいが面白い。

サジャーゴの孫だというカリダ・ベガがバラードを歌いながら客席から現れ
クラシコからフラメンコへ。
平の、バタ・デ・コーラとマントンの華やかなロメーラ。
マントンが落ちそうになるアクシデントも余裕で処理したのはさすが。
マントンや花、櫛、アバニコなどが落ちたり、のアクシデントは誰にでもおこりうる。
それをどう処理するかが問題。
とはいえ、もちろん落ちないように対策を十二分にとることが大切なのはいうまでもない。
ルイス・オルテガのソレア・ポル・ブレリア。
フラメンコらしいデテールにあふれ素晴らしい。
女性6人にハビエルがからむグアヒーラ(再びアバニコ)、ギターソロに続き
ルイスと平のシギリージャ。
最初から最後まで、カスタネットのかけあいをのぞき
二人が同じ振りで影のように踊るのが珍しい。
最後はブレリア。そしてアンコールでタンギージョ。
このタンギージョがなかなか楽しい。
ふくらませてプログラムの一曲としてもよかったかも?

結果としてクラシコとフラメンコが半分半分というコンサート。
あれもこれもつめこんだおもちゃ箱をひっくりかえしたように
バラエティにとんで華やかな公演だったが
その反面、焦点が少しぼやけてしまったような気もする。
群舞を減らし、平のソロ/デュオをもっと前面におしだしてもいいのでは?
振付家、ディレクターとしての面を出したということなのかもしれないが、
舞踊家としての、ダイナミックな魅力をもっと出してもいい。

またカスタネット、バタ・デ・コーラ、アバニコが繰り返しつかわれるが
そのため、これら技術と訓練を必要とされるものが効果をあまりあげていない。
このあたり演出にもよるのかもしれないが、
整理していけばもっと印象的なものとなるだろう。

またフラメンコではもっといい歌い手がくれば踊りもぐっとはえたことだろう。
フラメンコは歌を踊る。
いい歌が踊りにインスピレーションをあたえる。
好きな歌い手でないと踊れない、というエバ・ジェルバブエナのように
とまではなかなかいかないかもしれないが、
平ほどの実力があればそれにふさわしい歌い手を選んでもよかったかもしれない。

2010年11月9日火曜日

ヘレスのフェスティバル プログラム発表!


ヘレスのフェスティバルのプログラムが発表されました!


◆第13回ヘレス・フェスティバル 
2/25(金)21時「ダンサカリ。ダンサル・デ・ロス・ヒターノス」
[出]〈b〉アントニオ・エル・ピパ舞踊団
[場]ビジャマルタ劇場
2/26(土)21時「オメナへ・ア・ロス・グランデス」
[出]〈b〉ラ・ファルーカ
[場]ビジャマルタ劇場
2/26(土)24時「アマルガマ」
[出]〈g〉サンティアゴ・ララ・トリオ、〈b〉メルセデス・ルイス
[場]サラ・パウル
2/27(日)21時「ラ・セレスティーナ」
[出]〈b〉小島章司舞踊団
[場]ビジャマルタ劇場
2/27(日)24時「アタドゥラス」
[出]〈b〉ヘスース・フェルナンデス 
[場]サラ・コンパニア
2/28(月)19時
[出]〈c〉ミゲル・オルテガ
[場]パラシオ・ビジャビセンシオ
2/28(月)21時「バイベネス」
[出]〈b〉ハビエル・バロン舞踊団
[場]ビジャマルタ劇場
3/1(火)17時「ビベンシアス」
[出]〈c〉フアン・ロメーロ・パントーハ“エル・グアポ”
[場]アンダルシア・フラメンコ・センター
3/1(火)19時
[出]〈c〉ナサレ・カラ、キコ・ペーニャ
[場]パラシオ・ビジャビセンシオ
3/1(火)21時「アンヘル」
[出]〈b〉アンヘル・ムニョス
[場]サラ・コンパニア
3/1(火)24時「エレ・エレ」
[出]〈b〉レオノール・レアル、アナ・マリア・レアル、フアン・パッラ
[場]サラ・パウル
3/2(水)19時「エレ・エレ」
[出]〈b〉レオノール・レアル、アナ・マリア・レアル、フアン・パッラ
[場]サラ・パウル
3/2(水)21時「トランキーロ・アルボロト」
[出]〈b〉ルベン・オルモ
[場]ビジャマルタ劇場
3/2(水)24時「アンヘル」
[出]〈b〉アンヘル・ムニョス
[場]サラ・コンパニア
3/3(木)17時
[出]〈b〉マノロ・マリン
[場]サラ・パウル
3/3(木)19時
[出]〈c〉マリア・メスクレ、ダビ・カルピオ
[場]パラシオ・ビジャビセンシオ
3/3(木)21時「エル・ドゥエンデ・イ・エル・レロッホ」
[出]〈b〉ハビエル・ラトーレ舞踊団
[場]ビジャマルタ劇場
3/3(木)24時
[出]〈b〉ローラ・ペレス、アナ・マリア・ブランコ
[場]サラ・コンパニア
3/4(金)19時「ハビエル・ラトーレのクラスのフィナーレ」
[出]〈b〉クラス生徒
[場]サラ・コンパニア
3/4(金)21時「エン・ラ・オルマ・デ・スス・サパトス」
[出]〈b〉イサベル・バジョン
[場]ビジャマルタ劇場
3/4(金)24時「カジェホン・デ・アスタ」
[出]〈b〉アンドレス・ペーニャ、ピラール・オガージャ
[場]サラ・コンパニア
3/5(土)21時「イストリア・デ・ビバ・ボス」
[出]〈c〉ミゲル・ポベーダ
[場]ビジャマルタ劇場
3/5(土)24時「カジェホン・デ・アスタ」
[出]〈b〉アンドレス・ペーニャ、ピラール・オガージャ
[場]サラ・コンパニア
3/6(日)19時「カシダ」
[出]〈c〉ロサリオ・ラ・トレメンディータ、モハマッド・モタメディ
[場]サラ・パウル
3/6(日)21時「アイ・フエゴ・エン・トゥス・オホス」
[出]〈b〉アンドレス・ペーニャ、ピラール・オガージャ
[場]ビジャマルタ劇場

3/7(月)17時
[出]コンチータ、ベンディート、カスカリージャ
[場]アンダルシア・フラメンコ・センター
3/7(月)19時
[出]〈c〉レジナ、エル・トロ
[場]パラシオ・デ・ビジャビセンシオ
3/7(月)21時「ロサ、メタル・イ・セニサ」
[出]〈b〉オルガ・ペリセ、ヘスース・フェルナンデス
[場]ビジャマルタ劇場
3/7(月)24時「オリソンテ」
[出]〈b〉アデラ・カンパージョ
[場]サラ・コンパニア
3/8(火)19時
[出]〈c〉チュルンバーケ
[場]パラシオ・ビジャビセンシオ
3/8(火)21時「ススピロ・フラメンコ」
[出]〈b〉マヌエラ・カラスコ舞踊団
[場]ビジャマルタ劇場
3/8(火)24時
[出]〈b〉アナベル・ベローソ、ハビエル・ラトーレ
[場]サラ・コンパニア
3/9(水)19時
[出]〈c〉ルイス・モネオ
[場]パラシオ・ビジャビセンシオ
3/9(水)21時「ミ・ウルティモ・セクレト」
[出]〈b〉ベレン・マジャ、〈c〉ヘスース・メンデス、〈g〉ラファエル・ロドリゲス
[場]サラ・コンパニア
3/9(水)24時「ラ・グロリア・デ・ミ・マレ」
[出]〈b〉ラ・チョニ
[場]サラ・コンパニア
3/10(木)17時
[出]〈b〉ホセ・デ・ラ・ベガ
[場]アンダルシア・フラメンコ・センター
3/10(木)19時「ラ・グロリア・デ・ミ・マレ」
[出]〈b〉ラ・チョニ
[場]サラ・コンパニア
3/10(木)21時「ペルスペクティーバス」
[出]〈b〉メルセデス・ルイス舞踊団
[場]ビジャマルタ劇場
3/10(木)24時「ミ・ウルティモ・セクレト」
[出]〈b〉ベレン・マジャ、〈c〉ヘスース・メンデス、〈g〉ラファエル・ロドリゲス
[場]サラ・コンパニア
3/11(金)19時「ビポラル」
[出]ウルトラ・ハイ・フラメンコ
[場]サラ・パウル
3/11(金)21時「カンビオ・デ・テルシオ」
[出]〈b〉ヌエボ・バレエ・エスパニョル
[場]ビジャマルタ劇場
3/11(金)24時
[出]〈b〉ホセ・マジャ
[場]サラ・コンパニア
3/12(土)19時「ハビエル・ラトーレのクラスのフィナーレ」
[出]〈b〉クラスの生徒
[場]サラ・コンパニア
3/14(土)21時「クアンド・ジョ・エラ」
[出]〈b〉エバ・ジェルバブエナ舞踊団
[場]ビジャマルタ劇場
[問]http://wwwwww.villamarta.com・http://wwwwww.festivaldejerez.es

2010年11月8日月曜日

コルドバのコンクール予選開始

今日8日からいよいよコルドバのコンクールの予選が開始されます。
初日はギター部門で、17時からの開始。
9、10日はバイレ部門で、11時から14時30分の午前の部、
18時からの午後の部の2部制。
11日からはカンテ部門。

この予選を通過すると20日から23日の決勝へ進む事となります。

なおコンクール参加者はセビージャから30人、カディスから29人、
コルドバから24人とアンダルシアからが多いですが、
ほかにもマドリ、バルセロナ、バジャドリード、バダホス、
アルバセーテとスペイン全国から参加者は集まり、
海外からもアメリカ、キューバ、ペルー、ブラジル、
メキシコ、フィンランド、モロッコ、そして日本からと国籍もバラエティ豊かだそう。

さて、どんな結果となるのでしょうか。。。

2010年11月6日土曜日

MAGIA 石井智子とヘレスの魔法

混沌の中で啓示を受け
フラメンコへの愛が生まれ
深い深いシギリージャや
華やかなアレグリアスへと昇華する。。。


エレガンシア、“優雅”さといえばこの人、の石井智子。
ヘレスばりばりのフラメンコ、ディエゴ・カラスコとの驚異の共演から1年。
今回はディエゴのコンパドレ、
大親友モライート・チーコもよんでしまうという大技を繰り出し
再び私たちを驚かせてくれた。うれしい驚き。
90年に「ビエナルのスターたち」で初来日。
数年後にトルタの伴奏でフラメンコ協会のフェスティバルで来日して以来のことだ。
彼らに加え、アルフレドとダビのラゴス兄弟とその叔父アギラール・デ・ヘレスと、
ヘレスの面々で脇を固めての舞台。

ディエゴの歌声で目を覚ました石井は
アバニコやカスタネット、バタ・デ・コーラと、
見事なテクニックでフラメンコへの愛を示す。

続くモライートのブレリアはまったくのソロ!
スペインだと必ず入るパルマもない。まったくの素のブレリア。
ごまかしのきかないシンプルさ。
地の、血のリズムがぐるんぐるんまわっていてその上にふわっとのせたような
そんなブレリア。
続くタンゴも、ブレリア同様、自然なリズムに身体をまかせてるような気持ちよさだけど
ときどき見え隠れする、黒い魂が、うん、フラメンコだねえ。と既にごきげんな私。

群舞のかたちの美しさは特筆もの。
群舞を踊るのは生徒さんたちの舞踊団。
生徒は先生の鏡だけど、先生のいいところ−美しい上体の動きや柔らかな腕の動き、あざやかな足さばきなどを、しっかり映しているのが二重丸。
そしてそれに続くラゴス兄弟のソロも、ソリストらしい素晴らしさ。
アルフレドがエル・フラメンコで弾いてたのは20年前。
ダビが歌っていたのはそのあとだが、いやいや、すごいプロになったものだ。

そしてシギリージャ。
モライートの世界一のシギリージャを踊るという贅沢な一曲。
バタ・デ・コーラにカスタネット。
歌をゆっくりしっかりマルカールし、
伝統への敬意を現した。そのかたちの美しさ。
一人で、パコ・デ・ルシアやホアキン・コルテスも立ったあのゆうぽうとの舞台を
いっぱいにしてしまう。
大きな舞台をめいっぱい大きくつかってきちんと踊る。オレ!
黒いバックに黒い衣装なので、照明はもう少し明るめでもよかったかな、とも思うし
せっかくモライートが弾いているのにミュージシャンのあかりも暗めなのはもったいない。

ディエゴがゆっくりとロルカ最終のスペイン民謡をうたいはじめる。。。
デバホ・デ・バホ・デ・ラ・レチューガ…
パケーラも歌っていた言葉遊びうた。。。
そしてはなやかなアレグリアスへと流れていく。
バタ・デ・コーラの群舞から石井のバタのソロ、
通常の衣装での群舞で石井が再び登場、とそれこそ魔法のようにかたちをかえていく。
ゆうぽうとという大舞台で、きれいに群舞を動かす、というのは
一人であの大きな空間をアルテでいっぱいにするのと同じくらいに難しいのだけれど
そのどちらも見事にこなしているのがすごい。

ミュージシャンたちによるタンゴ(タンゴ・デ・マラガ風からタンゴ・デ・トリアーナ風にいくという、ちょっと面白いもの)をはさんで
ディエゴと石井が子守唄、アラエアで共演。
群舞も入って全員での楽しいシーン。
いや、これ、ほんと、ヘレスの人にもみてもらいたいよ。
フラメンコは楽しい。フラメンコはすごい。
フラメンコは国境を越えるのであります。

アンコールのブレリア。
次々に飛び出てはひと踊り。
一人一人の踊りがめっちゃ短いのもよく、
モライートの伝説的なブレリアもさることながら、
ディエゴの小さな動きの思わずオレ!

というわけで楽しい気分で今年も劇場をあとにしたのでありました。

ブレリアに頼らずともヘレスらしさいっぱいの舞台。
石井は去年、今年とこの大舞台で確実に階段を上がったに違いない。
次に何をみせてくれるのか。楽しみなことである。











2010年11月5日金曜日

コルドバのコンクール

いよいよ8日から予選開始のコルドバのコンクール。
第1回の開催は1956年だが、3年に1回の開催なので、
今年で第19回。
これまでは5月に開催されていたのが、今年から秋、11月の開催となった。
カンテ、バイレ、トーケの3部門、
カンテに109人、バイレに40人、ギターに18人の計167人が参加する。
今年から多彩な曲をこなさねばならず、
また応募資格は50歳以下になったが応募者は例年通りに多かった。

ちなみに予選は13日までで、
20日から23日までは決勝。
27日が授賞式。

決勝の審査員は
ギターがマノロ・サンルーカル、セラニート、ホセ・アントニオ・ロドリゲス
カンテがフォスフォリート、カリスト・サンチェス、アルカンヘル、
バイレがインマクラーダ・アギラール、ハビエル・バロン、アントニオ・エル・ピパ
とのこと。

また、コンクールだけでなくフラメンコ公演も開催。
11/17(水)21時「エル・ドゥエンデ・イ・エル・レロホ」
[出]〈b〉ハビエル・ラトーレ舞踊団
11/19(金)21時「ラ・ボス・デル・コロール」
[出]〈g〉マノロ・サンルーカル
11/24(水)21時
[出]〈c〉ホセ・メルセ、エル・ペレ、〈ピアノ〉ドランテス
11/26(金)21時「デ・フラメンカス」(新作初演)
[出]〈b〉マルコ・フローレス

ほかに写真展やCD新譜発表会なども開催される予定。
11月、フラメンコはコルドバで!

2010年11月4日木曜日

エル・テスティーゴ

カディスはチクラナ生まれの詩人、フェルナンド・キニョネス
80年代にフラメンコ番組の司会をもつとめた彼は
1998年に亡くなったが
その作品、想像の歌い手ミゲル“エル・パンタロン”の人生を描いた
「エル・テスティーゴ」が、俳優エル・ブルホの手で一人芝居となり
10月15日セビージャ、セントラル劇場で初演され、
11月4日から14日まではバレンシア、サラ・オリンピアで公演中。

スペイン内戦前後、
1930〜40年代のカディスの雰囲気を色濃く現しているこの作品は
アンダルシア演劇センターの制作で、
17日はコスタリカ、19、20日はパナマで公演。
26〜28日はスペインに戻ってアリカンテ
12月4、5日はバジャドリードのソリージャ劇場で公演予定とのこと

2010年11月2日火曜日

ホアキン・コルテスに芸術金メダル

今年度のスペイン、芸術功労金メダルを
アナ・ラグーナ(コンテンポラリーダンサー)とともに
ホアキン・コルテスが受賞。

授賞式は11月3日、ヘレスで皇太子夫妻を迎えて行われる。

2010年11月1日月曜日

セビージャ ダンス月間

以前、ご紹介したセビージャ・ダンス月間、メス・デ・ダンサ
まっさかりのセビージャ。
昨日、10月31日には、
元アントニオ・カナーレス舞踊団のメンバーらによって1996年に設立された、
フラメンコ系現代舞踊のカンパニー、アリエリートスが
「デスピデテ・デ・ティ(カルメン)」を上演した。


なお、開幕を飾ったイスラエル・ガルバンの「ソロ」
その練習風景と、作品を語るイスラエルのビデオはこちらで。