2014年9月15日月曜日

イスラエル・ガルバン「フラ.コ.メン」その2

幕はあいている。
下手奥にティンパニやシロフォンなど打楽器が並び
真ん中の下手よりにも大太鼓がふたつ転がっている。
下手手前には譜面台。

開演前に音楽を奏でていたというが
それは私はみていない。
開演。

譜面台にむかって譜面をめくり
「男らしく踊る」
「フラメンコじゃない」
「妹はヒターナ」
「父はヒターノじゃない」
とか言いながら黒いコルセットをつけたイスラエルが踊る。
それをバイオリンのエロイサが英語に訳していく。
「これはそう」
「これはちがう」
 客席に笑いがもれる。


白い男性用のフラメンコシューズを笛のようにふくかと思えば
それを叩き割る。
フラメンコの型を彼はこわしたのだ。
コルセットを外したのも彼を締め付けるものから解放されたということ。

イスラエルは自由だ。
パーカッションやサックスで、バイオリンで演奏されるのは
フラメンコだったり不協和音だったり。
その中でイスラエルは自由にフラメンコを描きだす。

アメリカのワークソングがトリージャに重なる。
酔っぱらいのようにファンダンゴを歌い
ペラーテにからむ。
そのペラーテが歌うのは意味の無い、どこの言葉でもないフラメンコ。
意味はなくても身体にしみてくるのはなぜだろう。
声?フラメンコの魔法?

セルネータのソレアで有名なレトラ
Fui una piedra   私は石だった
Perdi mi centro 中心を失った
Me alojaron al mar 海に放られた
al cabo de mucho tiempo 長いときが過ぎて
mi centro vine encontrar 私の中心が私をみつけにきた

をソレアだけでなくほかのリズムにものって繰り返し歌われる。
これは彼の今の気持ち?

角笛や闘牛をテーマにしたレトラの数々は「アレーナ」を思い起こさせる。
ベルディアーレスは「エル・フィナル・デ・エスタドス・コサス」だったか。
「ロ・レアル」でベレン・マジャが踊った曲も
金色のビーズのようなものの上で踊った。
ある意味これはイスラの自伝、自画像なのかもしれない。


それにしても楽しかった。
前作「ロ・レアル」がヒターノ迫害という重いテーマだったこともあるのか
すべてから解放された楽しい作品。
イスラエルの食わず嫌いにも絶対おすすめであります。

ビデオはこちら

ちなみにタイトルですが
フラメンコ、からの言葉遊びで順番いれかえて
フラコ、細身の男性というふうに読めるけど
フラ コ メン
と離しているからフラ(メンコ)  カンパニー メン
ともよめるなあ

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