2015年2月21日土曜日

ヘレスのフェスティバル初日メルセデス・ルイス「エジャ」

フェスティバルの初日はご当地出身アルティスタ、メルセデス・ルイスの新作「エジャ」。
緞帳の前にたたずむ男装のメルセデス。幕の中からきこえるビダリータに踊り始め、幕が開きダビ・ラゴスの歌うカンテス・デ・レバンテをも踊る。
ゲストのアントニオ・カナーレスのカンティーニャが絶品。

© Festival de Jerez/Javier Fergo
歩く姿だけでオレ!といいたくなるほどフラメンコだ。クリアで力強く正確でここぞというところにアクセントをみごとにつけていくサパテアード。形の美しさ。ふっと力をぬくその間のよさ。どれをとっても一級品。
続いてメルセデスと踊ったパナデーロスではカスタネット(奥さんのを借りたそうだ) で踊るのだが、ここでもみせるパソに息をのむような美しい瞬間がある。彼はフラメンコだけど、国立バレエで鍛えられただけにクラシックなかたちも熟知しており、きっとそれが彼のフラメンコを豊かにしているのだろう。
メルセデスとは師と弟子にしかみえない。その昔、やはりヘレスのフェスティバルでアントニオ・エル・ピパがゲストにローラ・グレコを招いたことがあった。そのときと同じだ。完璧にくわれている。当然と言えば当然のことだけれども。
マントンのバンベーラで再びカナーレス登場。
© Festival de Jerez/Javier Fergo
フレコの美しいマントンだが、昔のマントンのような重みがない。踊りやすいのだろう。きゃしゃな彼女にはあうけれどカナーレスのまえではちゃちにみえてしまう。
© Festival de Jerez/Javier Fergo
メルセデスはほかにもバタ・デ・コーラでのグアヒーラと踊ったがどれも精彩を欠いているように思えた。カナーレスの靴音をきいた後では彼女のはリンピオにすらきこえない。
© Festival de Jerez/Javier Fergo
 座って踊り始めるのはベレン・マジャのであったなあ。でも意味なく真似しているようにみえてしまう。私の偏見?ちなみにバタはつかんで裏をみせる振付けが多いのに、中の始末が美しくないし、コーラのはじまりが広すぎで一生懸命テクをやってもきれいに舞ってくれないのはちょっとかわいそう。ちなみに今回の衣装はオペラなどの衣装をてがけている人の手によるもので、今までの彼女の衣装とはちょっと違ったかんじ。

© Festival de Jerez/Javier Fergo
赤い衣装でのコントのようなカナーレスとのルンバ/マンボがあったあと
最後もまた幕前でビダリータで終了。
© Festival de Jerez/Javier Fergo

しかしいったいどういう意図で、どういう観客を対象にしてつくられた作品だったのかが全くをもって不明である。踊り手の気持ちがまったくみえない。
近年、ヘレスのフェスティバルやビエナルなど、アルティスタは作品を提示して参加するものになってしまったから、しかたがないのだろうけど、全てのアルティスタが創造者ではないのである。踊り手としてはすごくよくても作品をつくるということには全く別の才能が必要なのである。
メルセデスは腕の動きなど、おっと思う美しい瞬間もあったのだが、振りも同じような動きが多く、それぞれの曲調にあわせて表現しつくしているとは言い難い。
音楽もどこかできいたような、たとえばライ・エレディアの「ロ・ブエノ・イ・マロ」風とかなものがあったのは残念。サンティアゴはいいギタリストのはずなのだけど。


ちなみに24時からはグアリダ・デ・アンヘルでのホセ・バレンシアのリサイタルへ。小さな店なので間近に一流アルティスタを堪能できるのが魅力。まだあまり知られていないのかお客も少なかったのは残念。かなりおくれてはじまったコンサートは1部、2部とあり、2部の最後のブレリアにはグリロとカナーレスが舞台にあがるというおまけつき。いやいや、すごかった。ヘレスにいる皆様、オフィシャル以外でもいい公演ありますよ。
プログラムなど詳細はこちらでご確認を

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