2015年3月3日火曜日

ヘレスのフェスティバル11日目カンパージョ兄弟「サングレ」

ラファエルとアデラ、フアンのカンパージョ兄弟はビエナルで初演した「サングレ」を上演。セビージャ、ロペ・デ・ベガ劇場よりもここビジャマルタ劇場はずっと間口が広いせいか、印象も少し違ってくるようだ。

構成はビエナルのときと同じ。稽古風景にはじまり、アデラが研鑽をつんだタブラオのフラメンコ、そしてラファエルが活躍した劇場のフラメンコとすすむ。

稽古風景で、フアンが指の練習の速いパッセージを弾くとそれにしっかりあわせてサパテアードを打つラファエル。それと競うような速いサパテアードをきかせるアデラ。
© Festival de Jerez/Javier Fergo

ラファエルが稽古風景のあと、ラジオからながれてくるトリアーナのタンゴでトリアーナのじいさまのような振りをいれて一人で踊るのも楽しいし、ロス・ガジョスをもしたタブラオでのアデラのアバニコでのカラコーレスも美しく楽しい。

© Festival de Jerez/Javier Fergo
ちなみにバタ・デ・コーラは今もロス・ガジョスに出演しているベゴニャ・アルセでカーニャをマントンで踊った。もう一人のウーゴ・サンチェスもロス・ガジョスのレギュラーだ。
客席から舞台にあがって踊るカルメン・レデスマとのかけあいも楽しい。カルメンの、ヒターナの婆様のような振りをアデラもするのだが、それすら美しくかえてしまう。

© Festival de Jerez/Javier Fergo
 カルメンとエンリケ・エル・エストレメーニョの存在は大きく、作品に重みを与えている。タブラオのあとのフィエスタのイメージなのかな。
タブラオで育ったアデラとは違い、ラファエルはアンダルシア舞踊団に始まり、劇場中心のキャリア。アンダルシア舞踊団時代にホセ・アントニオと踊った「ゴルペ・ダ・ラ・ビダ」を踊る。ビエナルではホセ・アントニオ本人が出演したが、ヘレスでは彼の舞踊団時代の同僚、ラウル・ゴメスが踊った。なんでも6年ぶりに踊ったのだそうだ。

© Festival de Jerez/Javier Fergo
そのブランクを感じさせない熱演で、師匠のもとから巣立って行く弟子という筋書きの振付けを巧みに踊った。
それに続くラファエルのファルーカ。

© Festival de Jerez/Javier Fergo
アントニオ・ガデスを敬愛する彼らしくきちんときれいな姿勢。ただ首が前にでがちなのはちょっと残念か。
続いてアデラのシギリージャ。交通事故で踊れなくなったことをイメージしたと記者会見で話していたこの曲。エンリケの歌で深みがます。

© Festival de Jerez/Javier Fergo
ラファエルはアレグリアス。ラファエル独特の、あの不良っぽさというか、女たらしみたいなミラーダ、まなざしは健在。

© Festival de Jerez/Javier Fergo
エル・ロンドロとヘスス・コルバチョによる無伴奏でのファンダンゴの共演のあとは二人でソレア。

© Festival de Jerez/Javier Fergo
シンプルな構成でタブラオ、フィエスタ、劇場、それぞれのフラメンコを描き、なおかつサングレ、血で結ばれた兄弟の真摯な踊りに対する姿勢をみせてくれた。

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