2017年8月10日木曜日

ラ・ウニオン2017準決勝1日目

今年もやってきました、セビージャからバスで8時間のラ・ウニオンへ。
フラメンコの甲子園、ではないけれど、熱い戦いが繰り広げられるカンテ・デ・ラス・ミーナス祭。諸般の事情で今年はコンクールだけでございます。

トップバッターは例年通り?ギター以外の楽器部門。
コルドバのピアニスト、フアン・アントニオ・サンチェス。
タランタとブレリアというのだが、最初の曲、タランタらしいところは微塵もなく、リチャード・クレイダーマン的音楽。あれえ、と思ってたらブレリアのリズムになったので、あ、最初がブレリアか、と思ったら2曲めはカンテも入るブレリア。なぜ予選通過できたのか不明。



二人目も楽器部門でベース。バルセロナのペドリート・マルティネス。六弦ベースでタランタ、タンゴ。これもなんだかなあ、な出来。奥さんだかお友達だかの女性がタランタではジャズ風にちょっとボーカル入れるのだが、ジャズとしてもダメダメなものだし、タンゴは推して測るべし。



続いてカンテ。日本にも確か行ったことがあるビセンテ・ヘロ。舞踊伴唱で見たことがある人も多いはず。マラゲーニャは普通に良かったです。真面目な歌。もう一曲はトナ。


続く歌い手はミネーラ、カルタヘネーラ、シギリージャ、カラコーレスと4部門にノミネートのモンセラット・ペレス。アルメリアの人です。めちゃ苦手なタイプ。というのは、歌を伸ばす伸ばす、大声でがなる。それぞれのカンテにはそれぞれの寸法があると思うんだけど、彼女は伸ばして伸ばして伸ばしまくる。肺活量のコンクールでも大声コンクールでもないんだけど。フラメンコ的なひねりとか、間合いの妙とかそういうのは皆無。でも、こういうタイプのが好きな人もいるわけで。耳が遠くなった人向けの歌なのかなあ。


踊りの1番手はマカレーナ・ラミレス。アルコベンダスのコンクールで優勝した新進気鋭。タラント。


荒削りだけど、テンペラメントがある。でも衣装はねえ、私のパセオの連載読んでないからですかね(笑)、何がどうなったらこんな胸に花柄のフリフリ、裾にはレースのお衣装でタラントなんでしょう。好きなのを着る、でも良いんだけど、コンクールだと、衣装でもその曲らしさを表現するということは絶対プラスになるはずなのにね。

あとサパテアードも弱い。特に左が全然ならない。最初は床のせいかな、とも思ったんですが、2番目の踊り手が出てくると聞こえるじゃん。てことは、と思ったわけです。
まだ若いからどんどん上手くなってくることを楽しみに。


歌い手はバダホスのエステル・メリノ。毎年参加している印象が。ミネーラ、タランタ、マラゲーニャ、タンゴ。この人もさっきの人と同じで大声派。でもモンセラットほどは伸ばさない。声の質も落ち着いてきた感じ。で、タンゴの歌い出しとかは悪くなかったです。




マカレーナの2曲目はカーニャ。ソンブレロにアマソナ風の衣装。床に落ちているのは彼女が前の曲で落とした二つの櫛のうちの一つ。大仰に見得を切って終わるところとか、師匠のピパを彷彿とさせます。





















ギターの一人目はアリカンテのアレハンドロ・ウルタード。普通に上手。

舞踊の二人目はムルシア出身セビージャ在住マイセ・マルケス。
パトリシア・ゲレーロの「カテドラル」やジェルバブエナ「アパリエンシアス」にも出演しています。だから、というのもあるのかな、さも今風の踊り。サパテアードいっぱい詰め込んだ感じ。サパテアードはしっかりしています。櫛も落としません。

技術のコンクールだとしたら彼女の方がマカレーナより絶対上位。でもフラメンコはそれだけではないところがあるので、一概にどっちが上とは言えないところがありますね。

カンテのペリートは、確かペロ・デ・パテルナという歌い手の息子だかで、小さいペロで、ペリート、ワンコちゃんという芸名が可愛い。カルタヘネーラ、マラゲーニャ、アレグリアス。

ギターの二人目カディスのディディエ・マチョ。タランタとブレリア。そのブレリアがひどかった。なんといってもコンパスないんです。指の練習やっているだけ。フラメンコは、それぞれの曲種にコンパスという、リズムの決まりがありまして、それを守るのは大前提以前の問題。それができてないギタリストがなぜ予選を通過したのか。早い指使いだけできても肝心の曲がなければなーんにもならない。


そしてまた、観客が喜んでいるのか。理解不能。書くまでに理解されていないギターの世界、ということ?

カンテこの日の最後はミネーラ、タランタ、タンゴのアラセリ・カンピージョス。ウエルバの人と資料にあったのですが、ググってみたらコルドバの人らしい。歌より伴奏ギター、ルイス・カルデリートが受けていました。



最後はマイセの2曲目。カンティーニャ。バタ・デ・コーラに華やかなマントンで出てきただけで歓声が上がる。でもその割に、バタ使いもマントンも名人級とはいかないのが残念。マントンは下がったり、ずれたりが多いし、バタも優雅に舞わせるというより、早回し。さっきのタラントもそうだけど、詰め込みすぎで余裕がない感じだったのが残念。
でも伴奏のミゲル・ペレスが良かったので良しとしよう。


長い長いコンクールでうんざりするような歌やギターがあった後に、プロ中のプロの演奏を聴くとホッとして、惚れ惚れします。絶対踊り手から目を離さない、舞踊伴奏の神!

8時間のバスの後の4時間のコンクールはさすがにきつい。。。

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